作曲家、若草恵と黛ジュンに拍手!
珍しい作曲家が2人登場した。アレンジャーの若草恵と歌手の黛ジュンだ。若草には以前から作曲をすすめ、五木ひろしのアルバムや佐々木秀実の『愛は旅人』などを書いて貰った。それが天童でいきなり歌謡曲だから、驚きもし拍手もする。
黛は三木たかしの無念の肩がわりみたい。書き尽くせなかった分が妹に託されて...とオカルトっぽいが、血の熱い兄妹だからそんなこともあるか...と鵜呑みにしていた。それが長山でめでたくデビューである。
2011年2月のマンスリーニュース
2011年3月31日更新作曲家、若草恵と黛ジュンに拍手!
珍しい作曲家が2人登場した。アレンジャーの若草恵と歌手の黛ジュンだ。若草には以前から作曲をすすめ、五木ひろしのアルバムや佐々木秀実の『愛は旅人』などを書いて貰った。それが天童でいきなり歌謡曲だから、驚きもし拍手もする。
黛は三木たかしの無念の肩がわりみたい。書き尽くせなかった分が妹に託されて...とオカルトっぽいが、血の熱い兄妹だからそんなこともあるか...と鵜呑みにしていた。それが長山でめでたくデビューである。
ふたりの船唄
作詞:水木れいじ
のびのびとした舟唄。オーソドックスなタイプで、テンポを上げれば〝道中もの〟にも聞こえそうな心地よさ。それを天童がしみじみと歌った。もともと曲を大づかみに捉えて、独特の哀愁をにじませる人。歌詞のコトバ一つずつにつかまって感情移入がせせこましくなるのを避けている。
その、歌謡曲の〝のびのび感〟を書いたのが、あの若草恵なので「ほほう!」になる。才能に幅のある人だから、作曲を大いにすすめ、習作ふうに何曲か書いて貰った仲だが、この種のメロも書くのか!の驚きがあった。
春の雪
作詞:里村龍一 舞台はどうやら山里、ゆらゆらホロホロはらはらと、舞う雪の中で女は、自分の傷心と向き合っている。そんな思いを里村龍一が詞にし、岡千秋が曲にした。この飲ん兵衛義兄弟ふうコンビは、双方血が熱いのが特色だが、今回はもの静かに、情念の世界へのトライ。
歌う角川もまた、大仰に歌い回したりはしないタイプで、もの静かな中に主人公の思いと彼の思いを重ね合わせようとした。歌い納め「春の雪」の「る」のあたりで、裏声を使ったのがポイント。里村の詞、後半に表現がやや乱れるのは詰めの甘さか。
雨のたずね人
作詞:石原信一〝たずね人シリーズ〟の完結編だと言う。舞子の歌を気張らせずに、いわば〝軟唱〟に仕立てた方法論は、そのまま継続させたい欲が残る。高音、声の張り方を八分目くらいにすると、味と風情が出る人で、歌のココロがこちらへ、ひたひたと伝わる気配が生まれる。
ダンチョネ港町
作詞:仁井谷俊也く歌のスタイルは昭和30~40年代ふう。歌謡曲黄金時代の名残りがある。歌う中身はちゃんと今日ふう。中、低音を快く響かせて、草食時代の男っぽさを作った。1コーラスで2カ所、歌の口調を崩すが、さてこれが、トッポサに生きるか、慣れ慣れしさに止まるか。
桜雨~さくらあめ~
作詞:仁井谷俊也「1、2行目は柔らかい弾み方、3、4行目はガラッと変えて、ゴツゴツした弾みで」と、この歌の指南書がついて来た。なるほど徳久広司の曲は、そういう弾ませ方を秘めていて、瀬川の歌もそう表現している。作曲家の特色を言い当て、歌い当てていて妙だ。
博多山笠女節
作詞:鈴木紀代三木たかしが死んでしばらく、突然妹の黛ジュンにいろんなメロディーが降りかかって来た。本人も驚いて電話をかけて来たりしたが、その中の1曲がこれで「ほほう!」の世界が生まれた。当然ながら詞は鈴木紀代のはめこみ、長山に似合いのものになった。
八甲田
作詞:坂口照幸森の歌手生活45周年記念シングル。節目の年だから本人も周囲も、重厚な作品をドラマチックに...と、狙ったのだろう。歌い出しの「恥じないだけの...」の一言から、森の〝その気〟と〝独自性〟が聞こえて来る。作詞・坂口照幸、作曲・大谷明裕、気合いが入ったねえ。
あかね空
作詞:たきのえいじA、A、B...と、ポップス系のスタイルに、演歌系のフレーズをはめ込んだ曲は叶弦大。その分だけ、たきのえいじの詞が8行と、長めになる。ただし、モチーフのメロディーが繰り返され、そのひなびた色あいが、後味に生きた。真木は相変わらず器用だ。
北海子守唄
作詞:仁井谷俊也 いきなりトランペットが鳴って、
竜崎孝路の編曲は大掛かり。流氷に閉ざされた海、漁は2カ月休み、彼は町へ出稼ぎ...という、風景や暮らしの歌になる。詞・仁井谷俊也、曲・弦哲也が描いた絵が、竜崎の額縁に入った。川野の太めの歌声が、それを満たそうとした。
修善寺しぐれ
作詞:仁井谷俊也修善寺あたり、身も心もさすらう女。未練の回想シーンを、四方章人の曲がたどる。相変わらずというか、お人柄というか、四方のメロディーの起伏は穏やかめで、それを香田の歌が、強め強めに押し込んで来る。きっとインパクトの強さを作りたかったのだろう。
男女川~みなのがわ~
作詞:友秋 男女川は筑波山にまつわるもの。
その川と山を道具立てに、添えない男と女の歌が出来た。小田純平の曲はどちらかと言えばフォーク系、山本の歌表現は、どちらかと言えば演歌寄り。その二つの要素がせめぎ合って、不思議な感触を生み出している。