新年は女性艶歌が先頭に立つ
ほほう!と感じ入ったのは、川中美幸の『花ぼうろ~霧氷の宿~』や山口ひろみの『その名はこゆき』永井裕子の『そして...雪の中』キム・ヨンジャの『月下美人』など。
今回は全曲が1月発売分。新しい年は女性艶歌で明けそうな雲行きで、その後押しをしているのは池田充男、たかたかし、田久保真見ら作詞勢に作曲の原譲二だ。
まだいろいろと苦難の続く世相、CDの売り上げがパッタリ...と、問題はいろいろあるが、活路は〝いい歌〟が拓くと信じていこうか!
2011年12月のマンスリーニュース
2012年2月2日更新新年は女性艶歌が先頭に立つ
ほほう!と感じ入ったのは、川中美幸の『花ぼうろ~霧氷の宿~』や山口ひろみの『その名はこゆき』永井裕子の『そして...雪の中』キム・ヨンジャの『月下美人』など。
今回は全曲が1月発売分。新しい年は女性艶歌で明けそうな雲行きで、その後押しをしているのは池田充男、たかたかし、田久保真見ら作詞勢に作曲の原譲二だ。
まだいろいろと苦難の続く世相、CDの売り上げがパッタリ...と、問題はいろいろあるが、活路は〝いい歌〟が拓くと信じていこうか!
花ぼうろ~霧氷の宿~
作詞:たかたかし 平成23年の春と秋、明治座公演『天空の夢』で、僕はこの人と〝差し〟の芝居をした。向き合って二人きり、身近かに感じたのは、幕末の長崎、懸命に生きる大浦屋お慶を演じるこの人の、熱い思いと表現の呼吸...。
この歌を聞いて同じ気配に気づいた。すぼめた声の芯をしならせて、まっすぐに思いのたけを伝える。別れを前にした女心ソング、一番で雪の風景の中に主人公を立たせ、二番でその心情を吐露、三番で尽きぬ未練を訴える。歌いながら語っていて微妙。この人は明らかに、歌の中で女優をやっている。
こころ坂
作詞:仁井谷俊也 ♪ここまで来るには、いろいろあった...という歌い出しの歌詞、しあわせ演歌の夫の側の心境だが、もしかするとこれは千葉の、歌手としての道のりにも通じるか? だとすれば歌がどう変わるか?
しかし本人はどうやら、それとこれとは別...と考える。だから3行めの♪無理などしないで、これから先は...というフレーズにも、別段、自分の思い入れを重ねる様子はない。
そういう淡々とした歌唱、自分の顔よりも作品を前面に出す姿勢が、案外この人の、庶民性を根強いものにしているのかも知れない。
月下美人
作詞:田久保真見ふむ、カラオケ上級者用で、ポップス寄りのオトナ歌が狙いか! そんな感想を持たせる仕事ぶりは、作詞・田久保真見、作曲・田尾将実のコンビ。全身で歌い上げるヨンジャ流〝張り歌〟のトンガラシ味が抑えめ。しかし、これをサラッと歌うのは、案外むずかしいぞ!
遠い空だよ故郷は
作詞:関口義明昔、第二の三橋美智也と騒がれた声と節の持ち主。それが久々の新曲で、春日八郎ふうな歌い回しを聞かせる。ギター流し的イントロも含めて、いずれにしろ懐かしいキング・カラーがありありだ。声の張り、差す手引く手の呼吸にベテランの味を賞味しようか。
そして...雪の中
作詞:池田充男ほほう!である。元気印の永井が、初めての湯の町道行きソング。しみじみ艶っぽく...と身をしならせるように歌っている。刹那の恋に立ち尽くす女に「いいのこのままあなたに抱かれ、たとえば赤い雪の花...」なんて言わせるのは、作詞・池田充男の老練の一手。
ひとすじの恋
作詞:麻こよみ着物演歌がおなじみで20年超の立樹が、宣材をジーンズとシャツブラウスに衣替え、ムード派の新境地を歌う。ポップス系歌謡曲だがこんな時代、何でもアリだから冒険もいい。面白いのはサビあたり、声を張ると演歌色が強まる。これも新・立樹流とするか。
津軽へ
作詞:なかにし礼あえて細川流は避けた歌づくり。なかにし礼と浜圭介が、彼ら流の望郷ソングを書く。それに細川が添って歌ってみせた。だから彼の声と節で圧倒する手口は、今回はナシ。歌詞に1コーラス1カ所ずつ、句点の「 。 」があるのは、作詞者から作曲者と歌手への注文か?
ふるさと恋しや
作詞:たかたかし作品の世界をたっぷりめに、ごく自然な哀調で歌う。清水があらかじめ貯えておいた情念、流行歌のエッセンスが流れ出るようだ。眼の不自由な人相手で、語弊があるのを承知で書けば、歌詞の「青空、そよかぜ、白樺林」などの風景が、彼にはちゃんと見えているみたいだ。
コキリコの里
作詞:もず唱平もず唱平・聖川湧コンビの『はぐれコキリコ』の続編。ただし今回は、成世の音域の広さ、独特の節回しは抑えた。ファンに〝歌える〟妙味を残す作戦。タイトルと同じ言葉が各節末尾にあり、ふつう朗々と歌い放つところを、そうは行かぬ聖川の工夫がオモシロイ。