ベテランの仕事が刺激剤になるか!?
6月13日夜、新体制発足の日本作詩家協会懇親会で、副会長になった久仁京介と握手をした。「昔の名前やね」の冗談は、言わずもがなだったか。昭和45年、日吉ミミの『男と女のお話』が出会いだから、もう44年になる。福田こうへいで一発当てて、第一線復帰の賑いがめでたい。山田孝雄とはさくらと一郎の『昭和枯れすすき』以来40年のつき合い。ゴルフ場で会う事が多かったが、真木ことみの『恋文川』がなかなかだ。ベテランが腕によりをかけるのは、頼もしい限りである。
2014年7月のマンスリーニュース
2014年9月30日更新ベテランの仕事が刺激剤になるか!?
6月13日夜、新体制発足の日本作詩家協会懇親会で、副会長になった久仁京介と握手をした。「昔の名前やね」の冗談は、言わずもがなだったか。昭和45年、日吉ミミの『男と女のお話』が出会いだから、もう44年になる。福田こうへいで一発当てて、第一線復帰の賑いがめでたい。山田孝雄とはさくらと一郎の『昭和枯れすすき』以来40年のつき合い。ゴルフ場で会う事が多かったが、真木ことみの『恋文川』がなかなかだ。ベテランが腕によりをかけるのは、頼もしい限りである。
あなたに雨やどり
作詞:仁井谷俊也 岡の歌声そのものは薄手である。それがうまく生きて、歌う口調がはすっぱ。高音を鼻にぬくから仇っぽい艶が加わる。声味の面白さだろうか。
〽こころ預けて、寄り添って、私、私あなたに...雨やどり...
仁井谷俊也の詞が、主人公のたたずまいをさり気なく見せ、弦哲也の曲は、例によって情が濃いめだ。
そんな作品を岡は、掌の上で転がすように歌う。聞く側へ押し込んでくるのではなく、風情本位の歌の処理。長いキャリアで身につけた、ベテランの技かもしれない。
春よ来い
作詞:宮路オサム 歌い出しが一体誰?と思うくらいに、二枚目のムード派ぶりである。そんな歌詞3行分のあと、サビの2行分はガラッと変わって、おどけた乗りが三枚目ふう。そして歌い納めの1行分は、張り歌でオサム節になる。
宮路オサムが作詞、作曲した。1コーラスで三度おいしい歌づくりは、彼の歌手としてのキャラと、やりたいことのまとめ撃ち。よくやるよ!と僕は、彼との長いつきあいを思い浮かべながら、ニヤニヤした。
アレンジが牧野三朗と、久々に見る名前。たしか亡くなった作曲家牧野昭一の縁者だ。
能登の海鳴り
作詞:久仁京介 カラオケ大会の優勝経験多数、バンドボーカル歴2年のキャリアを持つ新人だ。それならば...というように、久仁京介と西つよしが力の入る仕事をした。歌い出しを高音から出れば、サビと歌い納めにも高音部が来る。インパクト強めの作品で、歌唱力の強調だ。
昭和男唄
作詞:さわだすずこなぜかつっぱる男唄。とっぽい語り口と、めいっぱい張りたい部分を、うまく生かせる作品を貰った。以前山形で一緒にカラオケをやったつき合いがある人。身丈に合った曲とスタッフにめぐりあえて、13年目の転機とか。よかったねぇと言ってあげたい。
南部のふるさと
作詞:久仁京介勢いというのは恐ろしいものだ。福田の民謡調のいいところが、随所に聞こえる。ことに歌詞のア行がすっきり抜けて伸びやかだ。作曲は四方章人。とかく穏やかめの彼の曲が、攻めに回っていて、いい。本人に言わせればそれは、歌手の力量次第との事だが。
女の夜雨
作詞:仁井谷俊也ギターがメインのイントロは、おなじみの露地裏演歌。人生に疲れた女が主人公と思いきや、仁井谷俊也の詞は幸せ演歌系。それと歌い尻を細かく動かす工夫の、徳久広司の曲が山口にうまくはまった。娘々した声味が生活感ぬきで、妙に初々しいのだ。
なみだ月
作詞:仁井谷俊也名文句づくりに仁井谷俊也が腐心して、近ごろ珍しい4行詞演歌。ギター流しにうってつけの曲を宮下健治が書き、南郷達也が奇をてらわぬオーソドックス編曲だ。そうなれば鏡五郎は、得たりや応!の歌いぶり。緩急よろしきを得て、よっ!名調子! だなぁ。
思慕酒
作詞:高橋直人こちらは伊戸のりお編曲のギターもの。高橋直人の詞に影山時則が曲をつけた。5行詞のはじめ3行分を、水田に抑えて抑えて歌わせて、ひと芝居させたのは次のサビ1行分。歌い納めを粘らせたが、影山も彼女に、ずいぶんストイックな仕事をさせたものだ。