新歩道橋

2016年11月20日更新


新歩道橋965回

 「大阪しぐれ」の歌詞はけっこう隙間があったなと思う。それでは作詞家吉岡治は、先輩の石本美由起同様に、そんなタイプの書き手で、作曲した市川昭介や歌い手に事後を託したのか? いや、あながちそうでもない。「天城越え」はどんどん隙間を埋めて、歌づくり合宿をした作曲家の弦哲也を閉口させているし.・・・

新歩道橋964回

 やっぱり話は〝心友〟高野公男のことで終始した。文化勲章受章が決定した作曲家船村徹の記者会見。10月27日午後、代々木上原の日本音楽著作権協会(JASRAC)の会場はおめでたムード一色。彼はこの協会の名誉会長だ。  「大勢の先輩たちの忘れものを、私が拾って届けることになったような感じで.・・・

新歩道橋963回

 「冬美、来たぞ、やっと来たぞ!」  おつきの女性がさえぎるのも構わず声をかける。10月20日午後の明治座の楽屋。のぞき込むのれんの向こう側、化粧台に向かう坂本冬美が振り向いて満面の笑顔になった。芝居とショーの合い間の休憩時間、ほど良いころあいに声をかけたのだが、彼女は「新版女の花道」の・・・

新歩道橋962回

 「おい、どうなってるのよ、これは...」  友人の花屋マル源の鈴木照義社長に説明を求めた。10月5日夜、東京のグランドプリンスホテル新高輪・飛天でのこと。北島三郎の芸道55周年感謝の宴が開かれたのだが、その会場づくりが凄まじかった。  いつもなら入り口から会場の地下1階へ続くだらだら坂・・・

新歩道橋961回

 《さて、例のピョンピョンを見に行くか...》  9月25日午後、逗子から湘南新宿ラインで新宿へ出て、中央快速で中野へ一駅。日曜日で他に仕事もないし...と、気楽な1時間ちょっとのはずだった。見に行く相手は水森かおり、その浮き浮き気分に、割り込んだ奴がいる。サンデー毎日の編集次長になった・・・

新歩道橋960回

 歌手山内惠介が、東海道新幹線の小田原駅を降りたのは午後3時1分。そこから南足柄市文化会館ホールへ車で駆けつけた。東京での仕事のメークはそのまま、衣装はさすがに着替えている。拍手と歓声に迎えられてステージに現れたのが午後4時。「スポットライト」「恋する街角」「流転の波止場」の3曲を歌って・・・

新歩道橋959回

 「同行二人」という言葉がある。「どうぎょうににん」と読み、巡礼者が「いつも弘法大師とともにある」という祈りを込めて、笠などに書きつける。作曲家船村徹の場合は、心友の作詞家高野公男が弘法大師に当たるように思える。船村が24才の時にブレークした「別れの一本杉」は昭和30年のヒットだが、コン・・・

新歩道橋958回

 21年前の1995年5月8日、テレサ・テンはタイのチェンマイのホテルで亡くなった。42才の若さで、ぜん息による呼吸困難のためである。同行していたのはフランス人の自称カメラマン、ステファン・ピエール。14才年下の恋人のイケメン。テレサは常々郷ひろみや田村正和が好きだと言っていたが、ピエー・・・

新歩道橋957回

 電話の受け答えで、少々不安になった。相手は星野哲郎の特番を作ると言うのだが、星野の世界にどの角度から入るのかと聞くと、口ごもりがちになる。とにかく会おうと約束して、ついでに...と助言を一つした。僕が書いた「海鳴りの詩・星野哲郎歌書き一代」を大急ぎで読むといい。エピソードが沢山書き込ん・・・

新歩道橋956回

 暑い。猛烈に暑い日々だが、沢竜二の「サマー・ワン・デイ・ステージ」は8月8日、新宿・紀伊国屋ホールで、昼夜2回の公演を終えた―と書くのは、この欄締切りの4日午後にやっつけた予定稿。時間を争う新聞づくりではよくやった手だが、なぜかこの夏は、出演した芝居の3本ともが、このタイプ。読者諸兄姉・・・