新歩道橋

2016年1月23日更新


新歩道橋935回

 「紅白歌合戦」は宿舎でひとり、のんびりと見た。一夜あけた元日は、ホテルそばの生國魂神社に初詣をした。ここまでは何十年ぶりかの、粛々とした年越しである。それが一転、夜は新世界ジャンジャン横丁そばのスナック「春」で、騒然の新年祝いになった。  《大阪もなかなかに、味なもんだ...》  と、・・・

新歩道橋934回

 「さてと...」  早めだが今年最後のこのコラムを書き始めたが、何とも落ち着かない。明12月10日午後に衣装合わせとかつら合わせがある。1月、大阪新歌舞伎座の川中美幸新春公演用で、福家菊雄作、演出の「浪花でござる」とオンステージ「人うた心」の二本立て。「浪花...」は「大爆笑でつづる歌・・・

新歩道橋933回

 11月26日午後5時、浅草公会堂4階のけいこ場へ行って驚いた。  「あんたの役? これだよ、これ!」  と沢竜二が示した役名が「お杉」である。  「えっ? ウソッ! 俺、今回は女形ですか?」  一瞬僕は眼の前が真っ白になった。翌27日の昼夜、浅草公会堂で「沢竜の全国座長大会」が開かれる・・・

新歩道橋932回

 「何でまた?」  「それはないだろう!」  と、二つのフレーズが「?」つきで、脳裡を行ったり来たりしながら、東京国際フォーラムへ出かけた。11月24日午後、都はるみの全国ツアー最終公演である。「これが最後の喝采...」と耳にしてのこと。辞めちゃうのか、休むのか、長く疎遠になっていた人だ・・・

新歩道橋931回

 〝北の詩人〟池田充男とその女性の出会いは、60年以上前の二月の小樽駅、雑踏を離れてたたずむ海老茶色の角巻き姿が目についた。後年、その人と関わり合いを持つことになろうとは、その時彼は思いもよらなかったと言う。  ある夜明けに、その人はふるさとを捨てた。というよりは池田が捨てさせた。函館本・・・

新歩道橋930回

 パーティーではなるべく、隅っこに居る。出来れば出入り口の近く。乾杯のあとあたりで人々が動き始める。飲み物や料理へ向かう多くの顔を、ここからならほぼ見渡せる。そのうえでこちらは少し動く。親しい作詞家や作曲家、編曲者たちへのあいさつ。主賓あたりの席へまっすぐ往き来するのは、世話になっている・・・

新歩道橋929回

 「サブちゃん、菊花賞勝った歌った」  10月26日付のスポニチは一面題字下に大見出しが派手々々しかった。北島三郎の顔写真つきである。前日京都競馬場で行われた菊花賞を、彼の持ち馬キタサンブラックが制覇してのこと。昭和38年から馬主になって52年めで初のGⅠ勝利だから、本人の胸中はさぞやさ・・・

新歩道橋928回

 突然スターが生まれる瞬間というのは、心ときめくものだ。最近で言えばラグビーの五郎丸歩選手。ワールドカップの活躍で、日本のファンの心をわしづかみにした。1次リーグ4戦で合計58得点、大会個人2位の成績だ。キックを決める前の、小腰をかがめ、両手人差し指を合わせて祈るようなルーティンが、すっ・・・

新歩道橋927回

 「お陰さまでチケット完売です! 拍手!」  10月1日、けいこの冒頭で主宰者の田村武也が宣言したから、僕はのけぞらんばかりに驚いた。路地裏ナキムシ楽団の公演「指切りげんまん」(作・演出同楽団)は16日が初日である。下落合のTACCS1179という小劇場にしろ、1回100余の入場券が3日・・・

新歩道橋926回

 誇示したいのはやっぱり「パワー」なのだろう。デビュー15周年記念リサイタルを5都市でやった山内惠介の場合だが、選曲にそれがありありだった。一部の幕切れが美輪明宏の「ヨイトマケの唄」で、二部のあたまが三波春夫の歌謡浪曲「豪商一代紀伊国屋文左衛門」。歌うには相当な力仕事になるものを惠介流に・・・