新歩道橋

2013年12月27日更新


新歩道橋864回

  頼まれれば嫌とは言えない。生まれつきの性分だが、こと歌づくりとなればなおさらのこと。「よォしッ!」とその気になると、とことん頑張るものだから、頼んだ相手が面食らったりする。最近レコーディングした谷本耕治なんかもその例で、引き受けてから仕上がりまでに2年近くの長期戦になった。 「遊びぐ・・・

新歩道橋863回

  「相撲では大関どまりだったけど...」 が歌手増位山太志郎の〝決意表明〟の前置き。 《何と大胆な。大関だって大変な辛酸をなめたあげくに獲得したはずの栄誉と地位。そんなに軽々しく言ってもいいのかい?》 と、僕はお節介な気分になる。スポニチで、一時は運動部の部長もやったから、その世界も少・・・

新歩道橋862回

  歌社会の車座の酒、芝居のけいこ場、ゴルフコンペなど、最近はどこへ出かけても、年長組である。最年長のこともしばしば。本人にはさほどの自覚症状はない。ま、酒量が減り、ドライバーの飛距離が落ち、物忘れは大分前からだが、セリフ覚えはまずまずの昨今。スポーツニッポンの記者時代からずるずるずっと・・・

新歩道橋861回

  何ともまあ、見ている方がじれったくなるほど、優柔不断のグズが、主人公である。美男で優しげが取り柄の醤油商平野屋の手代・徳兵衛。それを歌手の山内惠介がやった。兵庫県で2日間3公演、東京・池袋のあうるすぽっとで11月8日から17日まで上演した「曽根崎心中」(近松門左衛門原作、崔洋一監修、・・・

新歩道橋860回

  神野美伽はなかなかの賢夫人である。10月29日夜、恵比寿のライブハウスでやった「荒木とよひさ先生の古稀を祝う会」でも、ダンナをたてる態度物腰がきっちりとした接客ぶり。それを会のしょっぱなのあいさつで、いきなり客席から呼び出した。ラフな進行表に書かれた僕の役割は、ここで神野との「爆笑ト・・・

新歩道橋859回

  優勝カップとトロフィーが一つずつ、サイドボードの上に並んでいる。双方ともかわいいくらいにこぶりだが、まぎれもなくゴルフコンペのものである。トロフィーは10月18日、千葉の大栄カントリークラブでやった「小幡欣治杯・うれしい会」の獲物。もう一つは21日に千葉国際カントリークラブでやった「・・・

新歩道橋858回

  「アスリート」という言葉がまず浮かんだ。「歌うアスリート」か。違うな、これじゃ陸上競技の選手が歌を歌うみたいだ。10月11日、渋谷公会堂で、神野美伽30周年コンサートを見ての言葉捜しだ。びっくりするくらいの迫力の舞台なのだ。歌をどう歌うとか、心情と技をどう披瀝するかとかいうような情緒・・・

新歩道橋857回

《なりすまし症候群ってのが、あるのかも知れん》 成田へ向かう夜汽車の中で、ふとそんなことを考える。9月末に芝居でやったむずかしい役どころ夏目磯八から、いつもの自分に戻るのに、ひどく手間がかかっているのだ。うまく行ったか否かはともかく、納得がいっていない。一カ月余のけいこの間、自分なりに少・・・

新歩道橋856回

うまい具合に雨が上がった。9月26日の昼、台風20号は大きくスライスして、東京はその余波を逃れた。 「ほらご覧よ。一体誰が来てると思ってるのよ!」 ゴルフ場でよくぶち上げるセリフを、僕が口走る。深川江戸資料館小劇場の、東宝現代劇75人の会公演「芝翫河岸の旦那・10号館201号室始末」(作・・・

新歩道橋855回

 眼下の海はまっ白に泡立ち、波しぶきの荒れ方がまるで、東映映画のタイトルバック状態。 「だめだ、こりゃ・・・」 と僕は観念しかかった。9月16日午前の、湘南葉山の自宅。この日の朝、愛知県豊橋市付近に上陸、関東甲信を通り東北に進んだ大型台風18号の余波だ。テレビでは渡月橋が濁流に洗われて「・・・