新歩道橋

2020年4月23日更新


新歩道橋1078回

 「家を出たところで、コンサートも何もやってない。人には会うなというから、散歩してるよ。家からちょっと行くと海があってな...」  しばらく会っていない松枝忠信氏に電話をしたら、相変わらず元気な声だった。もう昔話だが、彼が大阪、僕が東京のスポーツニッポン新聞社で同じ釜のめし。音楽担当記者・・・

新歩道橋1077回

 「続いてます? ずっと」  「うん、もう3カ月になる、そっちは?」  「まだ1カ月、めしの後なんかが辛い...」  作詞家喜多條忠とのそんなやり取りは、禁煙についてだ。僕が始めたのは今年の元旦。その後一緒に飲んだ時に喜多條は、  「何でまた?」  などと冷やかし顔だった。それが3月に入・・・

新歩道橋1076回

 「どんなジャンルを歌いたいの?」  とよく聞かれて、それが悩みのタネだったと言う。テイチクから「私の花」(紙中礼子作詞、花岡優平作曲)でデビューする「ゆあさみちる」という歌手のことだ。  《へえ、そんな枠決めの仕方をそっち側がするんだ、このごろは...》  と、僕はニヤニヤする。  昔・・・

新歩道橋1075回

 「やあ、やあ...」  と、久しぶりのあいさつの響きには、気取りも嘘もなかった。しかし、握手に差し出した手に、一瞬の迷いがある。例の新型コロナウイルス感染を、相手はどう考えているか? ところが、  「僕、手がつめたいんですよ」  と人なつっこい笑顔で、夏木ゆたかはこちらの手を握った。2・・・

新歩道橋1074回

 第一景は公園、その群衆の中の一人に僕は居る。占い師としての装束は、お衣装さんの女性が着せてくれた。小道具もそれなりで板着き、音楽が始まり、緞帳が上がる。緊張の一瞬である。ところが―、  客席がまっ白なのだ。ン? と、一瞬こちらの気持ちがたたらを踏む。目を凝らせばそこに出現しているのは、・・・

新歩道橋1073回

 けいこ場に笑いが絶えない。場面ごとに芝居を固める時はもちろん、休憩時間もあちこちで、同時多発的に笑いのかたまりが生まれる。1月下旬の江東区明治座森下スタジオ。2月4日初日の川中美幸特別公演のけいこは、笑い合いながらその割にてきぱきと、事は進んでいる。  笑いの震源地!? は、演出家の池・・・

新歩道橋1072回

 舞台に巨大な将棋の駒が11個も並ぶ。それを背景に2人の男が対峙している。おなじみ、阪田三吉と関根金次郎の因縁の対局シーンだ。駒の間から男たちが現れる。舞台上手の数人が関根側、下手が阪田サイドで、彼らが、盤上の戦いを中継、解説、応援、言い争う。それぞれ口調が激しい。  《そうか、そういう・・・

新歩道橋1071回

 演歌をジャズ・アレンジで歌う。バックはピアノ、ギター、ベースのトリオ。曲目は「ちょうちんの花」「遣らずの雨」「豊後水道」で、川中美幸はまっ赤なドレスに思い切り長めのパーマネント・ヘア。遊び心たっぷりの演出に、ディナーショーの客はノリノリになる。12月8日のホテルオークラ。少し早めの忘年・・・

新歩道橋1070回

『午前3時の御祓い』  これはもう〝哲の会〟の伝説のイベントになっている。20年以上前の話だが、そんな深夜にむくつけき男たちが神前の板の間に正座して、御祓いを受けた。場所は山口県周防大島の筏神社。地名が出ただけで、もしや...と思われる向きもあろう。そう、作詞家星野哲郎の故郷で、宮司は星・・・

新歩道橋1069回

 心に沁みる〝いい弔辞〟を二つ聴いた。11月11日、東京・青山葬儀所で営まれたJCM 茂木高一名誉会長のお別れの会。遺影の前に立ったのは作曲家の弦哲也と作詞家の喜多條忠で、それぞれ作曲家協会と作詩家協会の、会長としての立場だ。  最初の弦は、茂木氏を「関守」に例えた。これはいかめしいタイ・・・