何かと騒然の師走12月、僕は緊張と昂揚をかかえて芝居のけいこに入った。何しろ新年の名古屋・御園座は松平健・川中美幸合同公演で、1月11日初日、2月19日千秋楽という長丁場。松平バージョンは「暴れん坊将軍・初夢江戸の恵方松」とショーの「唄う絵草子」川中バージョンは「赤穂の寒桜・大石りくの半生」とオンステージ「人うた心」
2人の座長がそれぞれの芝居に特別出演という形で相互乗り入れ。劇場が使う惹句も「豪華初共演」「必見夢のコラボレーション」と力が入る。共演の江原真二郎、曾我廼家文童、瀬川菊之丞、西川鯉之丞、土田早苗という面々も、双方に出演する。
舞台暮らし6年めの僕も、芝居2作に役を貰う光栄に浴した。「暴れん坊将軍」では、江戸・小石川養生所の医師・新出玄条役で、松平・川中ご両人とからみもある。「赤穂の寒桜」は、赤穂藩のもう一人の家老・大野九郎兵衛役で、浅野内匠頭切腹のあと混乱をきわめる赤穂城下から逃亡を企てる風見鶏。何とも情けない人物だが、大石内蔵助(松平)の深謀遠慮を陰で支える妻りく(川中)の女の半生劇の一点景を演じることになる。
12月5日顔寄せから年内を東京、1月2日に名古屋入りしてけいこ・・・というスケジュール。「やあ、しばらく!」「お変わりなく・・・」と、お仲間の真砂皓太、安藤一人、田井宏明、綿引大介、小坂正道、田井克幸、橋本隆志、松岡由美、倉田みゆき、穐吉美羽らと再会した。50日近い名古屋暮らしが、とても楽しいものになりそうだ。