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2010年10月のマンスリーニュース

2010年11月26日更新

「歌に卑しくなるな」と言ってたナ。

 表現は「率直」がいいし「自然」がいいに決まっている。歌も同じことだが、むずかしいのは、商品としての訴求力やインパクトの強さが作れるかどうかだ。「率直」を小気味よい強さにレベルアップ出来るか。「自然」を確かな情感で裏打ち出来るか。
 その辺が心許ないと、作家も歌手も「技」に頼り、それをつけ加える。しかしそんな「売れたい一心」は「作為」として、客に見すかされることが多い。「歌に卑しくなるなよ」が三木たかしの口癖だった。自戒の意味もあったろうが、心すべき言葉ではなかろうか。

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女の潮路

作詞:麻こよみ
作曲:岡 千秋
唄:市川由紀乃

 曲想で言えば『他人船』他、歌手で言えば菅原都々子あたりを思い出す。岡千秋が書いた曲は典型的な〝連絡船もの〟で、昔から流行歌の定番の一つ。波の瀬で揺れる船、憂い顔の女、飛ぶかもめがおなじみ。
 麻こよみの詞は逆に、女主人公を波止場に残した。あの人とあの船に乗ればよかった...という、悔いや未練がテーマになる。それを市川が、言葉の端々までていねいに歌う。声の出し方は少し抑えて八分めくらい。感情移入は少し濃いめで、これが彼女の〝連絡船もの〟今日ふう味つけなのだろう。

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北岬

作詞:平塚和也
作曲:浜 圭介
唄:細川たかし

 千家和也、浜圭介という作家名に「ン?」になる。懐かしい組合わせだ。この二人の個性がうまくからむ、細川のセルフカバー作品。
 歌い出しの歌詞4行分が、相当に抑えた歌唱で出る。続くサビ以降の4行で、ビシッと〝決める〟作戦、緩急の妙が狙いだろう。
 作品の古さ新しさにこだわることはない。いいものはいつの時代でもいい。それよりはむしろ、そんな容れ物にどんな中味を盛るかが肝要。歌全体をソフトに仕上げたあたりに、細川の時流への沿い方がのぞけた。

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酒の舟

作詞:たきのえいじ
作曲:岡 千秋
唄:真木ことみ

 真木は大きな容れ物として、この作品を貰った。たっぷりめの演歌ワルツで、『悲しい酒』を代表とする本格路線、歌手たちがトライし続ける高い山だ。それを真木のあの声とあの歌が満たそうとする。これで十分とはまだ言いがたいが、意欲は十分伝わる。

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おんな傘

作詞:城岡れい
作曲:影山時則
唄:上杉香緒里

 "露地裏演歌〟である。もともと男唄のジャンルだが、それを城岡れい、影山時則コンビが女物に仕立てた。傘の大きさと男の夢を較べたり、傘をひとときの安らぎの空間に見立てたり、去った男の帰る場所に思い定めたり...。上杉の歌は歌い納めの感情移入が一途だ。

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アカシア雨情

作詞:森坂とも
作曲:水森英夫
唄:美川憲一

 水森英夫のメロディーの流れと、美川の歌の粘着力が、面白いバランスを作った。水森の曲はスタスタと歌い回すと良さが生きる。それを美川が、あの口跡と声味で、語り歌にした。双方の、のうのうとした芸風が合流して、美川の活路を開きそうだ。

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みちゆき舟

作詞:仁井谷俊也
作曲:弦 哲也
唄:岩本公水

 曲は弦哲也で、すっきり穏やかめ。その起伏にほど良いテンポで乗って、岩本の歌はごく自然だ。演歌〝らしい〟表現に寄せるよりは、息づかいまで生かして、人肌の感触を狙う。へえ、いい声の持ち主だったんだ...と再認識するのは、声の芯の明るさのせい。

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女の華祭り

作詞:仁井谷俊也
作曲:鈴木 淳
唄:椎名佐千子

 これが鈴木淳の歌謡曲なのだと合点がいく。仁井谷俊也の詞10行分を4つくらいのパートに分けて、おいしいおかずのフレーズがはめ込まれている。早口コトバふうから、追っかけ歌唱まで。お陰で椎名が歌う女心が、少しお転婆で生き生きとした。

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私にだって

作詞:藤本卓也
作曲:藤本卓也
唄:香田 晋

 作詞・作曲・編曲に藤本卓也の名がある。ずいぶん昔につき合いのあった人で、ねばっこい人柄と歌の書き手。これも相当前の作品だ。あのころならロッカバラードなんて呼んだ、3連の乗りの良さに気分よく乗って、香田は相変わらず器用で巧い。

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オイトコ鴉

作詞:たなかゆきを
作曲:村沢良介
唄:木原たけし

 木原は東北地方で名うての民謡うたいのベテラン。 作詞のたなかゆきを、作曲の村沢良介は〝超〟がつくベテラン。そんな3人がそれぞれの腕を持ち寄った股旅ソングだ。3番の歌詞ではないが、〝後生楽〟な枯れた味わいがあって、惹句の〝新しい懐メロ〟が愉快だ。

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のぞみ坂

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡 千秋
唄:三笠優子

 三笠はどんな曲でも、自分流の歌に仕上げる。巷で歌い込んだ地力と苦労人の理解力がその陰にある。作曲が岡千秋となれば、ズサッと切り込んで来る彼流演歌!と思ったら違った。歌謡曲寄りに穏やかめの曲で、歌い納めの1行分で、二人の呼吸が合った。

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哀愁のシンデレラ

作詞:ありそのみ
作曲:樋口義高
唄:北原ミレイ

 舞台はヨーロッパの観光スポット。お話は一人旅する女主人公の傷心...。ミレイはここ何作か、そんな作品を続け、熟女たちの根強い支持を受けた。そして今度はシンデレラものである。これまでの色を編曲で濃いめにして、シリーズもこの辺できわまる気配がある。

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