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2010年12月のマンスリーニュース

2011年02月21日更新

新年も、手を変え品を変えて...

 今月の9曲分、タイトル一覧表を見れば気づくことがある。チェウニの都会調を除く8曲が、伝統的な演歌だ。目立つのはご当地ソングで、歌づくりの手を変え品を変え...の"品"で目先を変える作戦。だとすれば変えるべき"手"はどういう手段と知恵の絞り方を指すのだろう?
 幅の狭いジャンルである。歌手にも作品にも、きびしいつば競り合いが続き、おまけに逆風まで吹いている。この状況を突破し、凌駕するために、必要なものは何か? 新年もみんなで、それを探す年になるのだろう。

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長崎の雨

作詞:たかたかし
作曲:弦 哲也
唄:川中美幸

 1コーラスに3つ4つ、長崎の名所や名物が書き込まれている。ご当地ソングのきわみみたいな詞は、たかたかし。それに一筋、忘れられぬ恋を辿る女心の芯を通すのも、いわば常套手段...。
 委細承知の弦哲也は、その一本の筋を揺すぶって、抒情的なメロディーを書いた。詞の風景に、濡れ濡れとした色を施すのが、彼の役割だったろうか。
 川中は二人が書いた絵を、自分の世界に引きつけて、ドラマにした。きちんとヒロインの血肉の感触で語りおわすあたりが、この人の35周年の年季の芸だろうか。

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湯の町哀歌

作詞:関口義明
作曲:水森英夫
唄:池田輝郎

 古いファンなら「ふむ!」とうなずいたりするはずだ。片仮名表記と漢字の違いがあるが、昔々の近江敏郎のヒット曲と同名の歌。内容も、湯の町への愛しい人追っかけソングでほぼ同じ。2番の「寝ものがたりのつれづれ...」の生々しさ!?は、昔は避けて通った。
 歌を聴いて連想したもうひとりの歌手は、三橋美智也。湯の町ものの意表を衝いた民謡調で、これは作曲の水森英夫が、池田の特性を生かそうとしてのこと。
 未練心のうつむき加減と、のびのび牧歌調のコラボ。これも温故知新の一例だろうか?

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霧の土讃線

作詞:水木れいじ
作曲:水森英夫
唄:水田竜子

 こちらは水木れいじのご当地ソング。土讃線を持ち出して女の未練旅に名所を詠み込む。紅葉や夕陽の紅がいろどり、無人駅の景色もイメージさせた。こうなれば歌手は余分な事をする必要がない。水田は水森英夫のメロディー本位にすっきり歌って、役を果たした。

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おんなの雪

作詞:池田充男
作曲:船村徹
唄:走 裕介

 まざまざと、隅から隅まで船村メロディーである。詞を池田充男が書いた湯の町情艶ソング。詞曲両面の独特のゆれ幅と揺れ心地に、走が挑戦した。デビュー作が青年の覇気、次作が網走の再会劇、3作めがこれで、師匠の船村が走に示すハードルは、次々と高めだ。

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萩みれん

作詞:麻こよみ
作曲:中村典正
唄:松前ひろ子

 こちらは麻こよみ作詞のご当地ソング。タイトル通りに萩をゆく女の未練旅で、名所詠み込みは1コーラスほぼ1個所とこざっぱりしている。それが浪曲調に聞こえたりするのは、中村典正の曲の骨太、松前の声味と揺すり方のせい。お二人さん、呼吸が合ってる。

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北へ流れて

作詞:池田充男
作曲:水森英夫
唄:五条哲也

 近ごろでは珍しく前奏でいい気分のトランペットが鳴る。ゆったりめのワルツの北の抒情歌。五条はこれが3枚めのシングルだが、若さと男らしさで、カラオケ熟女を狙う作戦と見える。高音の突き方や語り口が「尊敬する」小林旭似。こちらはニヤニヤした。

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雪花挽歌

作詞:瀬戸内かおる
作曲:岸本健介
唄:夏木綾子

 おめず臆せずというか、粛々と一途にと言うか、岸本健介は彼流の演歌を書き続ける。今回の工夫は、歌詞の5行めのしっぽから次の行の頭へのつなぎ方。破調の妙がある。夏木は岸本演歌を歌い慣れ、高音の聞かせどころで勝負するが、逆に、低音部に素の味が出た。

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浪花恋人情

作詞:水木れいじ、今村楓渓
作曲:岡千秋、大村能章
唄:竹川美子

 作詞と作曲のクレジットが2名ずつ。それも水木れいじに今中楓渓、岡千秋に大村能章...と、歴史上の大物が出て来た。その謎は大昔の東海林太郎のヒット『野崎小唄』がアンコに入っていてのこと。題材を浪花ものに変えて、竹川の歌づくり苦心の一幕か!

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雪は、バラードのように...

作詞:夏海裕子
作曲:杉本眞人
唄:チェウニ

 夏海裕子・杉本眞人・チェウニというトリオの、いわば安定企画。デビュー曲『トーキョー・トワイライト』以来、ファンもおなじみの哀切甘美路線だ。チェウニは来日12年めだが、中堅歌手として定着、2010年に日本の永住権も得た。ご同慶のいたりと書いておこう。

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