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2010年6月のマンスリーニュース

2010年09月28日更新

上手いのはゴルフだけじゃないヨ。

 

 「なかなかねえ。ご期待に添えるようなのを書くと、ボツになっちゃうのよ」と作詞家・麻こよみの言い訳。僕が意欲作、冒険作へ、そそのかし続けるせいだ。
 そう言いながら今月は、彼女の作品が3曲。小金沢昇司と北野まち子と桜井くみ子に、それぞれ似合いの線を書き分けている。曲は徳久広司が2曲、叶弦大が1曲。よく聞けば、彼女なりの工夫の気配もちらちらとある。
 麻とそんなことをしゃべるのは、コンペの日のゴルフ場が多い。この人、近ごろゴルフも上手で、僕はグロスで負けたりする。
 

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幡随院

作詞:坂口照幸
作曲:宮下健治
唄:西方裕之

 「学がないから手紙は好かん」が口癖だった親父、そんな男から便箋1枚に走り書きの手紙がつく。「船をおりた」という息子への知らせだ。
 作詞・坂口照幸が、知恵をしぼった歌い出し。内容がそうと判るまで4行も使っているが、ま、これも彼のねばっこさか。
 宮下健治がつけた曲を、西方が男っぽく歌う。歌の主人公は息子。海で暮らす親父を離れ、街で生活して四十路坂をこえる。そんな父と子の、心の距離感を行きつ戻りつして、歌唱はなかなかの力仕事になった。

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夢追い舟唄

作詞:たきのえいじ
作曲:叶 弦大
唄:真木柚布子

 こちらは男と女の愛憎に棹をさす舟唄。二度も三度もあきらめて、まだひかれている女の未練を、たきのえいじが詞にした。♪夏をたたんで秋が来る。咲いて七草知る情け...なんて、名文句狙いのフレーズが三番に出て来たりする。作曲は叶弦大。「聞かせ歌」よりは「歌わせ歌」を書くのが身上と、思い定めている人らしい歌いやすさと訴求力が前面に出る。
 真木はサビあたり、ファルセットで歌い回して、はかなさや心許なさの演出。ちょっと品がないがいい女に仕立ててみせた。

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幡随院

作詞:久仁京介、原 譲二
作曲:原 譲二
唄:北島三郎

 原譲二のペンネームで、今回は曲だけではなく詞まで北島が手伝った。お話の主人公はタイトルが示す通り幡随院長兵衛。「天は一つさ、命も一つ」の男の生きざまを、北島説法で歌い切る。作品も歌唱も気合いが入って、いつもながらの北島節だ。

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はぐれ雲

作詞:水木れいじ
作曲:四方章人
唄:永井裕子

 ピーヒョロロ...ととんびが鳴く前奏は前田俊明。永井のずう~っと先輩の、三橋美智也の世界を思い出す。水木れいじの詞は、勝気で情にもろい娘心を書き、それを四方章人の曲がのどかな道中ものにした。永井の歌はのびのびと、空を見上げる気分で屈託がない。

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霧雨海峡

作詞:仁井谷俊也
作曲:中村典正
唄:川野夏美

 「ひとりで待つ」「忘れはしない」「帰って来てね」が一、二、三番のキーワード。船で出て行った男へ、ひたすら思いを届けたい娘心ソングだ。キーワードの部分がメロディーのサビ。川野は思いのたけを張り上げて、オーソドックスな海峡ものにした。

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裏町

作詞:山田孝雄
作曲:叶 弦大
唄:鳥羽一郎

 訳も言わずに姿を消した女を、思い返している裏町暮らしの男。山田孝雄の詞はそれ以上の説明が何もなく、叶弦大は委細かまわずに曲をつけた。鳥羽はそのメロディーの起伏に乗って、一気に歌い切る気迫を示す。おかげで主人公が骨太の男になった。

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はまなす海岸

作詞:麻こよみ
作曲:徳久広司
唄:小金沢昇司

 6行詞の5行目に「会いたい、会いたい、会いたいよ」のくり返しが各コーラスにある。お話しは去った女を探す男...だから、歌謡曲おなじみの設定。そうなると「会いたい...」以下をどう歌うかが鍵で、作品の色が決まる。小金沢は、そこを渋めの男っぽさでクリアした。

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夫婦詩

作詞:大地 良
作曲:大地 良
唄:杉 良太郎

 各コーラスの歌詞1行目が、今も昔も変わらぬ人生警句。それをバサッと前置きにした戯れ唄ふうな夫婦ものだ。歌の間のセリフも芝居がかって「人もうらやむ(チャンチャン)夫婦詩」と納まる。作詞、作曲もした杉が、ニヤリと悦に入っていそうだ。

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あなたがいたから

作詞:麻こよみ
作曲:徳久広司
唄:北野まち子

 何ともあけすけで、屈託のない「得恋ソング」で、ブンチャブンチャのリズムが明るくはずむ。作詞の麻こよみと作曲の徳久広司が、二人で作っておいて「いいネ、いいネ」と面白がっていそう。北野の歌がそういうふうにはまって、味な行進曲の楽しさがある。

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卯の花しぐれ

作詞:麻こよみ
作曲:叶 弦大
唄:桜井くみ子

 前奏が妙に劇的なニュアンス。桜井が本格的な演歌に挑戦する予告になっている。用意された作品は、歌詞の前半4行分が語りで、残る2行が歌い上げる大詰め。結果桜井の歌は、前半に初々しさが匂い、後半ではその若さが少し引っ込んだ。むずかしいものだ。

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屏風岬

作詞:森田圭悟
作曲:岡 千秋
唄:立樹みか

 風が吹き、かもめが鳴き、夜は雨になる屏風岬。そこで暮らす女が、未練心をかきくどく詞だ。その割に岡千秋の曲は、激することなく傾斜がゆるやかめ。それを歌うように語るように、立樹が淡々と形にした。いわば八分め歌唱の説得力、年の功だろうか?

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嘘泣き

作詞:田久保真見
作曲:浜 圭介
唄:ジェロ

 詞先の歌なのか曲先の歌なのか。田久保真見の詞も浜圭介の曲も、たたみ込んで強めに聞く側に迫って来る。アレンジが鈴木豪でポップス系の処理。これが追い立てる気配を加味、みんなでジェロの歌唱を若々しく、歌の感傷にみずみずしさを作った。

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