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2011年10月のマンスリーニュース

2011年12月13日更新

やくざ唄まで姿を消すの?

 暴力団を締め出す条例が、各都道府県に出揃った。企業や個人の接触までチェック、からめ手から締め出そうとする。市民生活をテコにするあたり、窮余の策とも思われる。
 暴力団徹底追放に、もとより異論などない。協力するのが市民の務めでもあろう。しかし、自粛するあまりに、流行歌の題材まで考え直すとなると、タタラを踏む。流れ者、はぐれ者を主人公にして、男の生きざまや孤独、美学を歌っても、それが暴力団を礼賛するとは思わない。過剰な反応はいかがなものだろう?

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ふたりの朝

作詞:たかたかし
作曲:叶弦大
唄:中村美律子

 聴いていて、ひどく気分がいい。メロディーの起伏、リズムの弾み方、中村の歌のほどよい明るさが、その要素。それだけか?と、もっと耳を澄ませてみる。
 1コーラス6行詞の歌。それぞれの行のおしまいの歌い伸ばすところが、たっぷり同じ長さであることに気づく。1行ずつ、お尻を気分よく歌い伸ばして、それが開放感を作る。
 大昔なら岡晴夫、昔なら新川二郎のヒットに、こういう奴があったな...と思う。鼻歌で歌い伸ばす兄ちゃん節。中村は心得顔の笑顔で歌った気配で、余分な技は使っていない。

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白川郷

作詞:たかたかし
作曲:四方章人
唄:香田 晋

 四方章人の曲は、相変わらず穏やかめ。それがお人柄だし、彼の作品の特徴でもある。ゆったりと、起伏もなだらかに、白川郷を舞台にした女心ソングだ。
 ギターをメインにした南郷達也の編曲がそれを揺すぶる。狙いは情緒てんめん...の世界。この人の作る音は、暖かめで包容力があるのが特徴だ。
 そんな容れ物に、哀愁ひといろの心情を盛るのが香田の役割。思いのたけのボルテージを維持、緊張の糸を張って、フレーズからフレーズへ辿っていく。これはこれでちょいとした力仕事だ。

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さだめ道

作詞:いではく
作曲:原譲二
唄:北島三郎

 昔ならやくざ唄、それに今日では夫婦ものの歌詞が付く。それでも、歌い出し2行でズサッと、歌の気概を決める手法は同じで、「同じ幹から分かれた枝も、表と裏では実もちがう」と、今回はいではくの詞が踏ん張った。北島の芸道50周年、記念曲のひとつだ。

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みなと夢酒場

作詞:里村龍一
作曲:弦哲也
唄:井上由美子

 港の酒場は、とまり木が7つ。ひとつ隣を空ける癖の女がいる。通じなくなった携帯番号を、指が覚えていたりして...。飲んべえならではのネタを生かす詞は里村龍一。武骨な男だが神経は細かいのか。そんな様子を井上が歌う。本人の顔がちらっと見えた気がした。

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女に生まれて

作詞:仁井谷俊也
作曲:中村典正
唄:三山ひろし

 この青年の歌は、こざっぱりと人肌で好感度が高い。声味にクセがなくて芯が明るめ、そのうえ中低音から高音まで、音色が変わらない安定感がある。カラオケ淑女の支持が熱いのは、そんな特色と、歌手としてのキャラや人柄に、ギャップがないせいだろう。

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篠突く雨

作詞:田久保真見
作曲:船村徹
唄:走 裕介

 いつものことだが、船村徹のメロディーが意表を衝く。昨今の流行歌の流れなど度外視した彼流のこだわりだ。ここのところコンビの多い田久保真見の詞は、女が男を捨ててゆくことでこちらも意外性狙い。走は師匠の曲を粛々と歌って、4枚めのシングルにした。

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大石内蔵助

作詞:木下龍太郎
作曲:宮下健治
唄:鏡 五郎

 品のいい表現ではないが〝どや顔 を、鼻ふくらませて...と言うことがある。この歌の鏡からは、そんな連想をした。お得意の芝居仕立て。2カ所にあるセリフが殊に自信のほどをうかがわせる。木下龍太郎の遺作に曲は宮下健治、3人で討入りの気分だ。

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花は黙って咲いている

作詞:中村要子
作曲:原譲二
唄:小金沢昇司

 「やっぱり、そ うなりますか!」 と、小金沢に声をかけたくなる。艶歌もムード歌謡も...と、幅広く歌って来た彼の唱法がガラッと変わった。作曲が原譲二、つまり北島三郎が書くメロディーは、彼独特の節回し。その色濃さを踏襲しないとやっぱり歌にならないか。

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夜霧の運河

作詞:田久保真見
作曲:船村徹
唄:鳥羽一郎

 「夢は男のいい訳か、それとも女の淡い願いか」なんて、このごろ作詞の田久保真見はしばしば、重ね言葉の表現を使う。歌い出し1行めから、はっきりそれと判る船村メロディーは、洋風な風景を感じさせる歌謡曲。鳥羽の30周年記念曲だが、歌に気負いはない。

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いたわり坂

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:瀬川瑛子

 徳久広司の曲が、哀調を帯びてメリハリきっちりしている。やくざ唄から宿ものまで、大ていの詞がはまりそうなタイプだが、それに夫婦ものの詞がついた。自然、瀬川の歌はひたひたと押して来て、心情的湿度は高め。こういう曲が似合う人だと再確認した。

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寒ぼたん

作詞:仁井谷俊也
作曲:弦哲也
唄:川野夏美

 男唄の似合い方に当方は「ほほう!」になった。 一番の歌い出しには、いさぎよい気合の入り方があるし、二番のそこはひょいと涙っぽく、三番のそこは歌の目線がグッと上がった。元気な演歌でデビューした人だが、本人の気性そのものが、歌に生きているみたい。

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人生みなと

作詞:関口義明
作曲:水森英夫
唄:池田輝郎

 詞の関口義明は 『ああ上野駅』が代表作のベテラン。 かけ言葉や重ね言葉で〝いい文句〟を作るのなど、お手のものだ。曲の水森英夫は、昭和30年代から40年代の、歌謡曲の匂いを大事にする。このコンビはどうやら、古いよいものを今日に生かそうと試みているようだ。

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