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2011年3月のマンスリーニュース

2011年05月16日更新

楽しいぞ、大沢・弦の腕くらべ

 大沢浄二が久々に、大川栄策の曲を書いた。弦哲也はずっと書いている水森かおりの新曲を出す。3月発売だから春から夏へ、この2人の作品がチャートを賑わせたら、とても珍しい師弟の争いになる。そんな前例があったかどうか、とっさには思い浮かばない。
 松井五郎と五木ひろしのコラボはなかなかだが、ほかにも上田紅葉、市場馨、旦野いづみら、作詞に新勢力が登場している。こちらの成果も大いに楽しみだ。

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おんな風の盆

作詞:池田充男
作曲:叶 弦大
唄:中村美律子

 ていねいに歌うということはつまり、歌詞のフレーズの語尾に、どういう思いを託すかに通じる。中村のこの曲を聞いての感想だ。
 ♪髪をほぐして、うす紅ひけば...の歌い出しの1行、まず語尾の「て」をひょいと〝置き〟次の「る」はしっかり気持を〝乗せ〟た。2行めの頭へ、情感を重ねてつなぐ手口だろう。
 サビの、♪あれは鼓弓の、しのび音か...は、「の」で気持を〝揺らし〟て、最後の「か」は何と、声を〝引き〟ながら、思いの芯は〝強め〟た。
 池田充男の詞をきれいに〝見せ〟ながら、この人一流の語り口と言えようか。

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旅路の果ての...

作詞:千葉 馨
作曲:三島大輔
唄:山本譲二

 1コーラスの詞が9行。はじめの6行分でお話をすすめ、残る3行分できっちりと、男の胸中を吐露する。その激し方がいかにも山本らしく、男っぽく響く。
 『みちのくひとり旅』から30年...と、惹句にある。あれもこれも三島大輔の曲で、そうか、あの路線で夢をもう一度...の企画かと合点が行く。
 30年の年月は、山本の歌唱にも垣間見える。後半3行のサビにはさまる「なぜ」が二つ。一つめに未練をにじませ、二つめは内省気味に声を張った。主人公があのころよりもおとなになっている。

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清水の暴れん坊

作詞:原 譲二
作曲:原 譲二
唄:北島三郎

 自分の歌の聞かせどころと、それがファンに受けるツボを、十分に知っている。そのうえで、自作の曲にそれを盛り込むあたりが、この人の凄いところ。しかも、歌は売れてなんぼのものと割切り、わきまえている。歌手生活50年、現役、長寿のヒミツだろうか。

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月物語

作詞:松井五郎く
作曲:五木ひろし
唄:五木ひろし

 こちらは、流行歌の極みへの挑戦である。松井五郎の詞は、さまざまな呼び名の月に託して、詩歌による恋愛論ふう。それが一転、女主人公の独白めいて仇っぽくなる、落差が面白い。作曲もやった五木の仕事ぶりは精緻で、こちらも彼の恋愛論ふうに聞こえる。

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庄内平野 風の中

作詞:旦野いづみ
作曲:弦 哲也
唄:水森かおり

 水森の歌い出しは、いつになく切々...。それが歌い納めの2行で一気に昂って、きれいなファルセットになる。鳥海山、出羽三山、庄内平野が一つずつ各節に歌い込まれているが、〝ご当地ソングの女王〟は一歩前進、主人公の思いへ、歌唱の踏み込み方を深めた。

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歌路遥かに

作詞:小椋 佳
作曲:小椋 佳
唄:島津亜矢

 小椋佳の詞・曲の語り口と、亜矢の歌唱の語り口との、寄り添い方が面白い。少しシナを作ったり、小節を転がしたりしながら、サビの高音で、歌が小椋ふうに一途になった。おなじみの亜矢の歌世界を一度、新しい刺激へ展開する試み。彼女流の詠嘆調『マイウェイ』か。

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絆酒

作詞:仁井谷俊也
作曲:三浦丈明
唄:千葉一夫

 あえて、語弊があるのを承知で書けば、愚直なくらいコツコツと、長く歌っている人である。そんな身の処し方はいつも、歌に反映されていて、表現が律儀で地道だった。千葉は今回、そういうハードルを越えようとしたのか、まき舌の開き直り方が少し前面に出た。

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高山の女

作詞:仁井谷俊也
作曲:大沢浄二
唄:大川栄策

 作曲が大ベテラン大沢浄二。井沢八郎ほかのヒットで知られ、弦哲也の師匠だ。それが手練の歌づくりをした。5行詞に起承転結きっちり、ゆるみもたるみもない曲をつけて、狙いは『さざんかの宿』の線。それを大川が一語々々愛でるように歌った。こちらも年の功だろう。

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面影草

作詞:池田充男
作曲:永井利昌
唄:花咲ゆき美

 いい声味と歌唱力の愛弟子に、新井利昌が曲を書く。師匠は自然に力が入って、ポップス調歌謡曲のメロが起伏大きめになる。お尻を叩かれた花咲は、懸命にメロを辿り、うねりを作ろうとした。そんな師弟を手伝った池田充男の詞は、やっぱり演歌調だった。

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花手紙

作詞:上田紅葉
作曲:都志見隆
唄:高山 厳

 ♪桜の花びらはこころの花吹雪 恋しい人に出す愛の花手紙...なんて上田紅葉の詞が、色づいてきれいだ。それをヤマ場に高山が、例によってトツトツと歌う。失った恋への挽歌に通じるふくらみを持つが、芯は亡母への思い。流行のマザコン・ソングの一つだろうか。

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