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2011年6月のマンスリーニュース

2011年08月02日更新

〝おもんばかり〟路線に一言

  『明日を信じて』『灯』『ねぶた』『春遠からじ』などのタイトルが並ぶ。東日本大震災を体験して、歌づくりがそれなりの流れを作ってのことか。あの日以後、NHKをはじめとする放送メディアは、新・旧作を問わず、極端なまでに歌詞チェックをした。結果、歌えない作品が増え、それが具体的な分だけ、歌の制作現場をより慎重にさせている。余波は新作の歌詞の、ドラマの書き込み不足に現われる。作品の底が浅くなるのが、新しい気がかりになった。

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明日を信じて

作詞:原譲二
作曲:原譲二
唄:原田悠里

 原譲二が書くメロディーは、メリハリがきっちりしている。北島三郎として歌う世界の、歯切れのよさが生きるせいか。面白いもので、歌い手と歌書きの特色が表裏一体、こんなところにも彼の美学が貫かれている。
 弟子筋に当たる原田は、その辺をよく心得ている。さらに昨今の世相、歌の流れまで感じ取れている気配。気負わずに軽めの歌に仕立て、サビはゆったりとメロに乗るなど、明るめの歌にした。
 それにしても北島は、楽しみながら歌三昧の日々、好きなんだなあ、本当に...と思う。

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作詞:水木れいじ
作曲:水森英夫
唄:藤原 浩

 藤原の〝変化〟に「ほほう!」である。ブンチャブンチャのリズムに乗って、歌に〝攻め〟の強さが生まれた。顕著なのは歌い出しの歌詞2行分と、各節の歌い納め。ひょいと本人の〝地〟がのぞけた。
 美声の持ち主で、それを生かす歌づくりが続いた。声に頼るとそれを整える意識が加わる。結果歌は〝よそ行き〟で情感を離れやすい。それはそれで一つの境地だが、藤原はもう一つ先へ行きたくなったのか?
 ひと皮むけた手伝いをしたのは、作曲の水森英夫。彼らしい力仕事がなかなかである。

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永遠の花

作詞:城岡れい
作曲:弦哲也
唄:島津悦子

 コクやアクの演歌臭を、意図的に薄めた歌づくりに聞こえる。素直にスタスタと歌って、感情移入はサビの歌詞2行ほど。それも弦哲也の曲が、彼女の高音の艶を生かした4個所ほどに止めた。理が勝った詞も、こういうふうにやわらげる手があるのだと、納得した。

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山百合の駅

作詞:三浦康照
作曲:叶 弦大
唄:若山かずさ

 おなじみの汽車もの。「改札口」「線路」「汽笛」「待合室」などが、歌詞にちりばめられている。蔦将包の編曲もおなじみのタイプだが、列車のきしみの刻み方が、若山の歌をあおり、追い立てるように効果的。若山の声味に切迫感を加えてお手柄である。

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ねぶた

作詞:なかにし礼
作曲:浜圭介
唄:細川たかし

 細川の歌声が、晴れ晴れと活力に満ちている。「人生はなぜこうもつらいのか」「人生はなぜこうも美しい」と、なかにし礼が詞を書き、浜圭介と若草恵が作、編曲で盛り上げた。「ラッセラー、ラッセラー」と掛け声張り上げて〝がんばろう東北〟の細川版か。

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おんなの夜汽車

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡千秋
唄:小桜舞子

 北へ行く女の傷心ソングを、仁井谷俊也と岡千秋が汽車ものに仕立てた。双方手なれた仕事ぶりで、岡のメロディーが、サビと歌い納めにヤマ場を作る。小桜は彼女なりの情感せり上がらせながら、一途に歌いつのる。この人の魅力は、この〝一途さ〟だと合点した。

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白山千鳥

作詞:山田孝雄
作曲:朝月廣臣
唄:谷本知美

 タイトルの『白山千鳥』は、高山の草地に生える多年草。千鳥が飛ぶ姿に似ているとか。その花が好きだった彼は亡くなり、残された彼女が追憶と追慕を歌う。近ごろでは珍しい純愛もののワルツ、谷本はセリフも含めて、なんともすがすがしいくらいの歌にした。

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春遠からじ

作詞:仁井谷俊也
作曲:立笠薫
唄:三笠優子

 「負けないで、負けないわ」「頑張って、頑張るわ」「生きるのよ、生きてゆく」と、三笠が女のゆく道を歌う。歌声が上を向いて、心開いている手ざわり。人生いろいろあったことを、越えた上での明るさに、この人のキャリアが生きる。生活感が得難い。

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雪挽歌

作詞:下地亜記子
作曲:弦哲也
唄:松原のぶえ

 「外は粉雪、心は吹雪」という決めの歌詞がある。その前半で厳しい風景を見せ、後半で女の傷心色濃くした。6行詞1コーラスを、ひと筆書きみたいに、情感よどみがない歌唱。泣き節だが適度の抑制も利いて、松原なりの巧さが聴き応えを作った。

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情熱のバラ

作詞:湯川れい子
作曲:水森英夫
唄:キム・ヨンジャ

 歯切れと乗りのいい、ラテン系歌謡曲。湯川れい子の洋風な歌詞に、作曲は思いがけない水森英夫。カスタネットが効果的な編曲は桜庭伸幸だ。委細承知の勢いでヨンジャが歌う。いい気分そうに開放されて、サビあたりには身上のキムチ味インパクトの強さも盛った。

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