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2012年4月のマンスリーニュース

2012年07月04日更新

その人〝ならでは〟を聞きたい!

 歌、詞、曲、編曲それぞれに〝その人らしさ〟を聞く。一歩進んでその人〝ならでは〟の特色があれば「ふむふむ」と合点する。たまに意表を衝かれる作品がある。手応えたしかなら「いいぞ、いいぞ!」と拍手をし、時代の匂いを感じたりすればもう「最高!」と大喜びだ。題材はみな男と女のお話で、大筋は決まっているから、切り口や表現での腕比べ。「神は細部に宿る」ことになろうか。僕はいつもそんな共感を求めて、流行歌を聞いている。

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女のうなじ

作詞:田久保真見
作曲:岡千秋
唄:角川 博

 ♪逢えない夜はじぶんを抱いて...というフレーズで始まる二番の歌詞に、主人公のたたずまいが見える。女の孤独感がきれいな絵になっていて「ふむふむ」だ。それが三番で、♪哀しみさえも幸せだから...と言い切る。女性だからこそ思い至る表現だろうか。
 作詞・田久保真見。独特の感性をずっと追跡している相手だ。ポップス系の長めの詞に、その特色が生きていたが、五行詞の演歌もそこそこいけると判った。うなじに託した女心の妙に、岡千秋があけっぴろげな曲をつけた。角川の歌がのめり込まずにすんだ。

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倖せの花

作詞:麻こよみ
作曲:伊藤雪彦
唄:三代沙也可

 「泣いた過去」を「いろいろあります ありました」と女主人公が独白する。それでも夢だけは失くさずに来て今日がある。タイトルにもなった「倖せの花」は、この手で、信じて、明日に咲かせる...と、各コーラスの末尾で決意表明だ。
 麻こよみが書いた主人公は、自力本願。がんばっていればきっと、いいことがある...と近ごろあちこちで言い交わされる考え方が軸。だからだろうか、伊藤雪彦は明るく、気分よさそうな曲をつけて応じた。三代はそれを、まるで自分のことのように、つつましげに歌った。

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雨の熱海

作詞:建石一
作曲:弦哲也
唄:島津悦子

 来るか、まだか...と、宿と駅を行き来する女の待ちぼうけソング。今時、高校生のデートじゃあるまいし...などと、憎まれ口を叩きたくなるが、建石一はそんな女心の純真さを書きたかったのだろう。島津の歌は少々控えめに、かわいいタイプの女を作ろうとしている。

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五十鈴川

作詞:麻こよみ
作曲:叶弦大
唄:竹川美子

 この川は伊勢神宮内を流れ、伊勢湾に注ぐそうな。そんな姿に幸せ薄い女の祈りを重ねようとしたのが麻こよみの詞。すがるタイプの女性像を歌う竹川の歌には、どこかに〝あやうさ〟がついて回る。声の張り方、節の回し方のおずおず...だが、それが作品に似合った。

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裏町酒

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡千秋
唄:秋岡秀治

 作曲家がデモテープを歌う。歌巧者だったり個性派だったりすると、歌い手にそれが影響する。秋岡はそこのところを意識したのかどうか。歌の押し方、攻め方に何個所か、岡千秋流のアクの強さを残した。それが彼の歌にポイントを作り、全体に訴求力を強めた。

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陽だまりの花

作詞:石原信一
作曲:弦哲也
唄:岩出和也

 別に北国・会津若松の出身だからではあるまいが、このところ石原信一が書く歌は〝ぬくもり〟をテーマにしたものが多い。この作品もそうで、「おまえがそばにいればいい」と、人肌の幸せを訴える。その歌にこのタイトルをつけた手際が「ふむふむ」である。

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くれない酒場

作詞:みやび恵
作曲:水森英夫
唄:黒川真一朗

 歌手の真骨頂は声そのもの...というのが、水森英夫の持論で、どうやらこれもそんな試みの一作。朗々と張った高音で、黒川の色をはっきりさせようとした気配がある。明るめ、のびのびの美声は、陰影が薄めになりがちだが、女性コーラスがアクセントをつけた。

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おとこ星

作詞:麻こよみ
作曲:水森英夫
唄:和田青児

 高音をちゃんと張る。中、低音の部分は情感をゆすぶる。これも水森作品で、和田はしっかり歌うことに専念したが、それが女房子供を守り抜く市井の男の気概を歌う作品だけに、うまく生きた。惹句に〝ダイナミック〟が強調されているのは、そのせいだろう。

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一本釣り

作詞:阿久悠
作曲:浜圭介
唄:島津亜矢

 切り口と、筆致や文体が独特だから、漁師の恋歌もガラッと変わる。阿久悠〝ならでは の仕事だろう。四行三ブロックがワンコーラス。最初の二ブロックが抑えめの浜圭介の曲は、三ブロックめで一気に盛り上がる。亜矢の歌にムチが入る感触があって、愉快だ。

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酒のやど

作詞:池田充男
作曲:森山慎也
唄:香西かおり

 平易な表現、独特の詩情、雪が舞う北国もの...と、池田充男〝ならでは〟の詞に、森山慎也の曲が寄り添っている。だから惹句は「歌いやすいメロディー、身近な歌詞...」と訴えるが、歌うには難しい作品。さらっと歌い切る香西には、二五周年の年の功がある。

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夜明けのブルース

作詞:レーモンド松屋
作曲:レーモンド松屋
唄:五木ひろし

 愛媛・松山在住のレーモンド松屋が作詞作曲したラテン調ムード歌謡。ステップ踏んで体をゆらして、気分よく歌えば最高!というタイプのはやり歌だ。ここのところのレパートリーづくり、作家の起用には、プロデューサーとしての五木の目配りが濃いめだ。

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笑うは薬

作詞:相田毅
作曲:堀内孝雄
唄:堀内孝雄

 短い余命の宣告、それを三年のばした奇跡、そして臨終...。そんな恋人に寄り添った青年は、その間何をし、事態をどう受け止めたのか? およそ流行歌向きではない物語を歌にして、堀内が語る。タイトルからは想像できない内容だが、身につまされて泣く人は多かろう。

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