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2012年6月のマンスリーニュース

2012年08月19日更新

もっと、とんがれ! それが活路だ!

 いま、なぜこの歌手にこの作品なのか、歌づくりの〝動機〟がほの見える作品が揃った。演歌・歌謡曲の支持層や数が限定される中での活路さがし。
〝売れ線〟がせばまる実感が先に立ち、類型ソングが過多になる流れと考え合わせれば、ご同慶のいたりである。
 しかし...と、僕はなお、ないものねだりをどうしても書く〝ほの見える〟程度ではまだまだじゃないか? 思い切ってもう一歩、挑戦の意思をとんがらせてみてはどうだろうか?

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石見のおんな

作詞:喜多條忠
作曲:水森英夫
唄:永井裕子

 島根県にある石見銀山が、世界遺産に登録されて五周年。地元の強い希望で作られた第二作である。第一作『石見路ひとり』は吉岡治・四方章人の作品だったが、今度は喜多條忠・水森英夫コンビに代わった。
 琴ヶ浜、鳴り砂、三瓶山、沖泊、温泉津など、名所がちりばめられたご当地ソングだが、〝船もの〟狙いのメロディーが快い乗りの、本格派ふうに仕上がった。〝愁い顔〟というのがあるが、
永井の歌声はさしずめ〝愁い声〟で、はなから哀愁の色がにじむ。それが力まずにすっきり歌って、歌の姿をきれいにした。

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火消し一代

作詞:原譲二
作曲:原譲二
唄:北島三郎

 北島三郎、三劇場の長期公演、今年の演し物は「め組の辰五郎」で、その主題歌を本人が作詞・作曲した。勇み肌の男の気概を歌い込んだ、いわば説法節で、独特の語り口に少々、枯れた味わいが加わっている。
 この道五十年、七六歳になるがこの人の仕事ぶりは相変わらず精力的。原譲二の筆名の歌づくりもおなじみだが、本人の話では四六時中歌のことばかり考えている生き方考え方が、作家活動にも現われるらしい。彼流の突き詰め方にゴールはなく、達成感も遠いというのは、芸する人の業だろうか。

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涙くれないか

作詞:松井五郎
作曲:水森英夫
唄:山内惠介

 作詞の松井五郎は山内惠介の歌に、意識して「物語」を与えたと言う。それが 〝銀幕歌謡〟のコピーを生んでいるが、
〝物語〟は決して〝ストーリー〟ではない。劇的な情況の中の男の独白という形で、なるほど山内の歌は、野太く男っぽいものになった。

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越後母慕情

作詞:池田充男し
作曲:岡千秋
唄:上杉香緒里

 会合で出会って「大きめの歌を貰ったな」と言ったら、
本人はうふふ...とうれしそうに笑った。池田充男の詞、岡千秋の曲で、越後に住む母と東京にいる主人公の娘、それが生んだ女児と、女の感慨が三代にまたがる。上杉が淡々と歌って、彼女なりの味を作った。

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灯り

作詞:杉紀彦
作曲:四方章人
唄:谷本知美

 埋もれたいい歌を再発掘するシリーズの三作めがこの作品、北原ミレイが出したCDのカップリング曲だそうな。都会で暮らす女主人公が、故郷の母をしのぶ秋、冬、春の思いのたけが並ぶ。もの静かな曲が一転、サビで激するあたりで、谷本の色が作れた。

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昭和・男道

作詞:宇山清太郎
作曲:四方章人
唄:小林 旭

 長く星野哲郎周辺にいたベテラン宇山清太郎が詞を書いた。昭和の男の心情なら、本人が自分の胸中をそのまま歌に託せる年代で、語り口にもそれが生きている。やくざ唄系の作品が、旭を〝その気〟にさせたろう。身上の高音がくぐもり加減になっているのが渋い。

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箱根 おんな宿

作詞:たかたかし
作曲:中村典正
唄:真咲よう子

 昔、クラウンの看板娘だった人が、ベテランの域に達した。あのころのままの古風な唱法に、たかたかしが書いたのもまた、古風なたたずまいの女主人公。真咲の歌はそれなりの年月で、少しずつ彫りを深くして来た感があり、中村典正の曲がそれを盛り上げた。

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別れの港

作詞:三浦康照
作曲:岡千秋
唄:桜井くみ子

 思い出の港に立ちすくむ女心を書いたのは三浦康照の詞、それを岡千秋の曲と南郷達也の編曲がおなじみの船ものに仕立てた。昔から女性歌手が一度は歌いたがるタイプの作品で、切々と身を揉むように...という世界。歌手六年めの桜井にはうれしい挑戦になったろう。

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こまくさ帰行

作詞:さくらちさと
作曲:田尾将実
唄:岩本公水

 彼への思いを振り切って、女はふるさと行きの列車に乗る。さようなら、ありがとうと、演歌によくある設定だが、さくらちさとの詞の字脚は長めで口語体、田尾将実の曲はポップス寄りの歌謡曲。岩本の歌は作品の後半、たたみ込むあたりで〝今ふう〟タッチになった。

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24時の孤独

作詞:田久保真見
作曲:徳久広司
唄:秋元順子

 午前零時の部屋、ひとりぼっちの女の物思いを、田久保真見が彼女らしい詞にする。それをリズミカルで乗りのいい作品にしたのは、徳久広司の曲と矢野立美のアレンジ。三人が秋元の魅力を生かす手段を考えた気配で、結果、のびのびとした哀愁が生まれた。

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