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2013年1月のマンスリーニュース

2013年03月13日更新

新年、みんなが暖かさを求めるのか!

 昔、阿久悠は「どうせ」とか「しょせん」 の心情を排除するところから歌を書き始めた。流行歌の退嬰的な暗さを避けたかったのだろう。ところがどうだ、今月の新曲には男と女が寄り添って前を向く歌が並んでいる。落ち込まず、諦めず、信じたとおりに...と、失意ソングですら根は暗くならず、傷の深さを見せない。3・11 以後、人と人の絆が再認識され、こんな世相の中でも、それなりの活路を探そうとする人心の表れか。それが新年第一作らしさの色あいになっているから妙だ。

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北のおんな物語

作詞:池田充男
作曲:中村典正
唄:松前ひろ子

 丸山雅仁編曲の前奏からして重厚、中村典正のメロディーは、明らかに男唄である。それが北国を舞台にした夫婦ものの歌に展開する。無愛想な男と、それに命がけで惚れた女の物語。何とも骨太な〝しあわせ演歌〟だ。
 こじんまり、ほのぼのムードと相場が決まっているこのタイプを、硬派に仕立てたのは池田充男の詞のいさぎよさ。男も強いが女も強い...と感じ入る。
 松前の歌も重めに、女主人公のひたと見据える目線を伝える。中村・松前の呼吸が合って、歌づくりでも夫婦善哉と言えようか。

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ふたりの夜汽車

作詞:麻こよみ
作曲:水森英夫
唄:西方裕之

 麻こよみの詞は〝道行きもの〟である。世間を捨て、過去を捨てた男女が、最終の夜汽車に乗る。そんな状況を水森英夫の曲は、じめつかず、悲しみを抱え込まないタイプに仕立てた。往時の三橋美智也の世界を連想させて、むしろ気分のいいノリだ。
 歌い出しを高音で出れば、サビに高音が来て、歌い納めにもう一度高音が来てワンコーラス。結果、訴求力強めの作品になって、西方の歌もそれなりの覇気を生んだ。
 六行詞の終盤二行が、曲も歌も少し優しげになるあたりが、今日ふうだろうか。

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命かさねて

作詞:水木れいじ
作曲:岡千秋
唄:藤原 浩

 低音ザックリと「やけ酒の...」と歌い出したところで「ほほう!」になる。吐息まじりの歌が人肌の手触りで、応分の説得力を持つせいだ。藤原浩が変わった。もともと整った美声に自信を持っていたタイプ、それが声に頼らず歌を語り始めた。この人の進境だろう。

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花一輪

作詞:仁井谷俊也
作曲:田川寿美
唄:田川寿美

 歌の芯がしっかりと、太めになっている。家庭を持ち、母親になった田川の、充実感めいたものが伝わる。親交があるという幸耕平がそこを狙ったのかも知れない。幸が書いたメロディーは、大月みやこ用に近いが、田川はちゃんと、自分流の歌にしている。

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ほろよい酒場

作詞:森坂とも
作曲:水森英夫
唄:伍代夏子

 小料理屋の女がほろ酔いで、あれこれひとりごちている。詞も曲もそんな調子のほのぼのムード。それを歌うでもなく語るでもなく、にこやかに表現するのが伍代流みたいだ。主人公の顔に伍代の顔がダブる。キャラ似合いの歌が出来たということになる。

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女のみれん

作詞:高畠じゅん子
作曲:叶弦大
唄:若山かずさ

 女が泣いて男が笑う恋のなりゆきを、そのまんま歌にした未練ソング。若めの声でひとすじ三〇周年、若山はおなじみの歌唱を崩さずに来た。その律義さ、けなげさが、ファンの心を離さないのだろうが、息づかいにちゃんと、キャリアなりの奥行きが生まれている。

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ふたり咲き

作詞:下地亜記子
作曲:原譲二
唄:北島三郎

 それが流行りなら、俺もやってみようか...とでも言いたげな、北島版 〝しあわせ演歌〟 だ。四角い膳の焼き魚、小さな切り身をえりわけてくれる女房相手に、まんざらでもない旦那の笑顔が絵になる。多作の北島は歌で、そんなスケッチを積み重ねているのかも知れない。

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のこり月

作詞:円香乃
作曲: 北原じゅん
唄:瀬川瑛子

 久々に、北原じゅん健在!である。総合プロデュースもやったという気合の入り方は、曲の工夫に見てとれる。ゆったりめに揺れる部分と、気分せり上がる強めの部分のバランスがなかなかで、瀬川の声味と語り口をうまく生かしている。いいじゃないか!

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夫婦つくしんぼ

作詞:田久保真見
作曲:弦哲也
唄:瀬口侑希

 ほのぼのと、ほほえましい女心ソング。男と女のオハナシなのだが、庶民的で楽天的な、母性愛の暖かさが前面に出ている。詞の田久保真見のひとひねりと、それを面白がった曲の弦哲也の顔が見えるようだ。瀬口は新しい〝自身らしさ〟を見つけるかも知れない。

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夢の花 咲かそう

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也
唄:中村美律子

 中村美律子と増位山太志郎が競作した作品の中村バージョン。歌い出しの詞二行あたりで、中村の歌声が弾んだりする。タイトル通り、君の時代がきっと来る...と語りかける応援歌だが、「人生は捨てたもんじゃない」は、作詞たかたかしの、近ごろの本音だろうか。

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くちぐせ

作詞:田久保真見
作曲:徳久広司
唄:キム・ランヒ

 歌い出し三行分でもう、おいしいメロディーだなと答えが出た。徳久広司の顔を思い浮かべながら、俺も歌いたいタイプだと思う。この「歌いたい」が僕の、いい歌捜しの物差しのひとつ。キムの歌はひところのやんちゃ臭が消えて、しっとり大人になった。

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愛だとか

作詞:松尾潔
作曲:松尾潔
唄:由紀さおり

 Jポップ系にヒット作の多い松尾潔が作詞作曲した、いい感じの歌謡曲。アルバム『1969』でブームを作った由紀にふさわしい新作と言えようか。生活感の薄さにひところ、じれったさを感じたこともあるが、逆にそれが熟女の清潔感と、由紀の世界を納得した。

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