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2014年10月のマンスリーニュース

2015年09月28日更新

隙き間狙いは、挑戦のひとつだ

 西方裕之の『おやじのたそがれ』は、多芸の物書き高田文夫のクセ球、山本譲二の『北の孤愁』は昭和40年代ふう直球、島津悦子の男唄『惚れたのさ』は、威力そこそこのカーブ...。 いずれも流行歌の隙き間ねらいの企画である。昔、〝演歌の竜〟の馬渕玄三氏は、大晦日に温泉で「紅白」を見て、出て来なかったジャンルの歌づくりで新しい年を始めた。「これがてっとり早い勝負でね」と、隙き間ねらいの妙を教えてくれたことを、思い出した。

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惚れたのさ

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:
島津悦子

 言動がきっぱりめで、気性もすっきりに見えるのが、島津の日常。だから意外だったが、男唄はこれが初めてという。
徳久広司の曲は、やくざ唄ふうな決め方。それを生かすように島津は、ざっくりと歌って、それなりの味を作った。思い入れ濃いめになるのは、サビの「惚れたのさ 惚れたのさ」の1回めの「さ」の部分。ここに男心の本音めいた色が出る。
 多作の仁井谷俊也の詞も〝ほほう!〟である。決めのフレーズづくりに工夫があり、2番の歌詞も流さずに書いていて、頼もしい。

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おやじのたそがれ

作詞:高田文雄
作曲:佐瀬寿一
唄:
西方裕之

  「セピアの写真」「泣きぐせ踊り子」「ひろった仔猫」「夕闇」「釣り堀」「こわれたネオン」と、言葉をぶつ切れに並べて描くのは、おやじの世代のたそがれ。歌づくりに参入した高田文夫〝らしい〟アイデアだ。
 それを思いがけなく、ごく演歌的なメロディーにまとめたのが作曲の佐瀬寿一。一風かわった作品で、独自性を狙う二人の野心がありありだ。
 西方の歌はこれも意外だが、やわらかめにスタートして、歌い尻で決めにかかる。その狙いは、〝おやじ〟同志の共感に聞こえる。