トップページ> > 月1マンスリーニュース> 2014年11月のマンスリーニュース

2014年11月のマンスリーニュース

2017年05月02日更新

仁井谷3曲に趣きを変える工夫

 相変わらず多作の仁井谷俊也の詞が、今回は9作品中3編。岡千秋が2曲、弦哲也が1曲と相方が変わり、編曲は南郷達也、若草恵、伊戸のりおの3色。
 『この世は女で廻るのよ』はアイデアもの。『城崎夢情』は湯の宿未練の定番もの。『雲母坂~きららざか~』はフォーク調っぽいのが内訳だ。物語と舞台の設定に新味こそないが、それなりの小道具探しと慎重な筆致で、目先と趣きを変えた。『雲母坂』はトゥーハーフの構成、歌謡曲狙いがはっきりしている。

1411_01.jpg

早春慕情

作詞:悠木圭子
作曲:鈴木淳
唄:
椎名佐千子

 流行歌の流れはここ数年で、明らかに演歌から歌謡曲に移行している。そうなれば鈴木淳はきっと、我が意を得たり!の心持ちだろう。『早春慕情』は彼一流の甘美さをにじませて、淀みのないメロディー。悠木圭子の詞が10行もあるが、緩急よろしく訴求力強めの仕上がりだ。夫妻で一曲を仕上げるやりとり、呼吸の合わせ方が、目に見えるようでほほえましい。歌うのが弟子の椎名佐千子、1コーラスに2度出てくる高音部に、切なげな色が濃い。鈴木一家それぞれの、自負が匂う作品だ。

1411_03.jpg

二月堂(にがつどう)

作詞:麻こよみ
作曲:影山時則
唄:
葵かを里

 珍しく日本調の匂いがする歌唱が、この人の声味に似合う。それが奈良を舞台にする詞と曲、編曲の素材で生きた。基本が泣き歌の人だろうが、歌い回さずに語ろうとする気配が好ましく、ことに三番の語り口に情がにじんだ。歌手10周年の進境だろう。

1411_04.jpg

この世は女で廻るのよ

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡千秋
唄:
中村美津子

 この種の楽曲を歌わせたら、この人の右に出る歌手はいない。語り口のメリハリ、啖呵ふうな詰め方、歌を揺する遊び心などは、美律子が長いキャリアで身につけたものだろう。委細承知の岡千秋が、浪曲調少々のメロディーで、彼女に〝はまり〟の作品にした。

1411_05.jpg

城崎夢情

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡千秋
唄:
井上由美子

 温泉宿、許されぬ恋、尽きぬ未練...と、オーソドックスの見本みたいな演歌。仁井谷俊也の詞、岡千秋の曲、南郷達也の編曲と、三拍子も揃った。それを井上が、これまたオーソドックスに歌う。たっぷりめの曲にひたひた...の情感、この人の曲者らしさが出た。

1411_06.jpg

吾亦紅~移りゆく日々~

作詞:仁井谷俊也
作曲:弦哲也
唄:
川中美幸

 声をすぼめ、思いをしならせて、女心を語る。川中の新境地は、詞が水木かおる、曲が弦哲也の冒険作でもある。「いま、花ひとときのいのち」の移りゆく日々を、3コーラス三幕ものの抒情歌にした。これは間違いなく〝女優〟川中ならではの、精緻に演じる歌だ。