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2015年12月のマンスリーニュース

2016年02月01日更新

歌詞に面白み、少数精鋭かい?

 田久保真見は特異な作詞家。時にドキッと胸を衝かれる詞を書く。今回もそうだが、作り出すドラマを見据えている、鋭い視線と表現が得難い。原文彦は以前、美川憲一に書いた歌の「こおろぎみたいに女は泣いた」というフレーズに魅せられた人。たきのえいじは詞がカラフルになったのが、頼もしい。とかく彼の詞は墨絵ぼかしに静かだった。僕の棲みか逗子の葉山が歌になったせいだけではないが、志賀大介のベテランの遊び心も楽しい。作詞が頑張れば、作曲する側もみんな弾むものだ。

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みちのく遠花火

作詞:たきのえいじ
作曲:若草恵
唄:
佐藤善人

 若草恵は華麗でドラマチックな、ポップス系のアレンジャー。それが作曲をすると演歌系になるから面白い。父親が演歌の作曲者で子供のころからその種の歌に囲まれ、後に中山大三郎の弟子になった体験が、彼の中に根をおろしていそう。音楽的に先を目指す意思と、守旧派ふう体質が共存しているのだ。 作詞はたきのえいじの望郷ソングだが、彼の詞には珍しく、各コーラスに主人公を取り巻く風景がくっきりとある。若草もたきのも心優しい歌書きのせいか、暖かくのどかな作品で、佐藤善人の歌も、のったりと仕上がった。

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会津・山の神

作詞:原文彦
作曲:四方章人
唄:
津吹みゆ

 作曲家四方章人が手塩にかけた新人のデビュー作。歌い出しから高音のメロディーで、四方の曲がスケール感を狙う。作詞の原文彦は確か四国在住の人。時おり面白い作品で東京へ狙い撃ちをしてくる。三番の「腹に火を抱く故郷の山に...」なんてあたりが、いかにもいかにも。津吹みゆの歌は初々しくていねい。もうちょい荒っぽくても良かったか?

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湯島天神おんな坂

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡千秋
唄:
岡 ゆう子

 お蔦・主税の物語を、仁井谷俊也が歌にした。これまで多くの作家が手がけた素材だが、仁井谷がそれと示すのは題名と二番の歌詞に止めた女心ソングだ。岡千秋の曲はそれなりに、日本調を意識した気配がある。岡ゆう子の歌は伝法な口調、諦めのムードで、彼女らしいお蔦像を作った。ファルセットで迫るサビが、情感強めになった。

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花つむぎ

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:
伍代夏子

 この間、MCの対談で会ったらこの歌を「ヒット性あり」と、本人が診断した。根拠はみんなが歌えるいいメロディーと「花つむぎ...花つむぎ...」と歌の真ん中にあるフレーズの快さだとか。そのくり返しをブリッジで生かした曲は徳久広司、山里の故郷を捨てられぬ恋心の詞は仁井谷俊也。伍代夏子は歌手活動30周年。自作を分析する眼も確かだネ。

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夕霧岬

作詞:原譲二
作曲:原譲二
唄:
藤 あや子

 藤あや子への北島三郎の肩入れはなかなかのもの。今回は原譲二の筆名で、作詞、作曲をしてこの歌を彼女に提供した。彼が得意とする岬ものの女心版だ。 歌い出しの「啼くな」と「海鳥よ」のそれぞれを、女声コーラスが追いかける。まず客をつかむ細工か。決めるのは5行詞最後の1行。民謡育ちの藤に、肚を据えた発声をさせている。

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逗子の恋港

作詞:志賀大介
作曲:伊藤雪彦
唄:
三代沙也可

 「こんなに東京は近いのに...」という三番の詞にニヤリとした。逗子から東京へ通う僕の実感に重なったせい。桜山は葉山の飛び地と言う。葉山に住む僕は「ほう!」になる。 作詞志賀大介、作曲伊藤雪彦コンビは、三代沙也可の歌づくりで、ここのところ江ノ島、鎌倉、今度の逗子と湘南を回る。今度も伝統的歌謡曲の快さを聞かせて、三代に小さな旅をさせた。