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2015年6月のマンスリーニュース

2015年08月31日更新

あえて蛮勇を!こんな時代だもの

 シングルCDは、2、3万枚売れれば上出来なのが、演歌・歌謡曲の現状だそうな。「それなら、とんでもない企画で挑戦したら...」と、僕は制作陣に言う。ケタはずれな歌でも、歌手たちがそこそこの数字は稼ぐだろう。市況を逆手に何でもアリの精神。意表をつく驚きや刺激性が、世間の目を引きつけ、次の企画の幅を広げる。肝要なのは「アッと言わせる」斬新さとそれなりの完成度。問題はコケた時の責任だが、それを回避しては、風穴は開かない。あえて蛮勇を!世の中モノ次第だぜ!

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哀愁...日本海

作詞:仁井谷俊也
作曲:岡千秋
唄:
椎名佐千子

 椎名佐千子の師匠鈴木淳は、歌謡曲で一家をなした人。淀みのないきれいなメロディーで、盛り込まれる情感は、結果大づかみだ。
 近ごろ歌謡曲づくりに熱心なのが岡千秋。そのメロディーには大てい、アタックの強い個所があって、演歌の匂いを残す。この差異の源はおそらく、両者の生まれや育ちにまでさかのぼれる。美意識と生活感の違いだ。鈴木作品に慣れた椎名が岡作品を歌った。同じ歌謡曲でも、一味違う仕上がり。キモは「寒い、寒い、寒い...」の突き方といなし方。歌い伸ばす語尾の、情感を濃くできるかどうかだ。

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花火師かたぎ

作詞:もず唱平
作曲:船村徹
唄:
鏡五郎

 そりゃあ鏡五郎の歌にも気合が入るはずだ。もともと彼は古い船村徹門下生。それがずいぶん久しぶりに、師匠から声がかかった。スタジオで、武者ぶるいをしたかも知れない。
 それがありありなのは、歌い出しの歌詞1行分と、歌い納めの「花火師かたぎ...」の歌唱。ここで鏡は、熟年の自分の気概と花火師のそれとを重ね合わせた気配がある。
 もず唱平の詞5行3コーラスの随所に、船村メロディー"らしさ"が顔を出す。それを鏡の歌がていねいに辿る。演技派ふうに何でもござれの彼の歌が、今回は珍しく生一本になった。

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秘恋(ひれん)

作詞:石原信一
作曲:岡千秋
唄:
原田悠里

 月光も舞う雪も川を行く船も「ひそかに、ひそかに...」でゆったりめの演歌ワルツ。石原信一の詞の1番と3番、岡千秋の曲と原田悠里の歌がいかにもいかにもだ。なつかしさの中でふと気づく。これは石本美由起・船村徹・ちあきなおみの「さだめ川」のオマージュか!

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母恋い三度笠

作詞:水木れいじ
作曲:宮下健治
唄:
三笠優子

 氷川きよしが歌ってもいい三度笠ものを、三笠優子でやる。「母恋い...」とテーマを限定した分だけ、三笠のベテランの味とそれに、少々の齟齬が生じた。昨今、CDの売り上げが低迷、なかなか突破できない市況に、どうせなら...と居直った企画の一つだろうか。

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涙の花舞台

作詞:原譲二
作曲:原譲二
唄:
北島三郎

 歌い納めの「最後の花舞台...」あたりに曲、歌ともに万感がこもり、長期公演を卒業した北島の心境を聞く思いがする。作詞も原譲二の名で本人がして、「感傷」を「感慨」に高めようとし、歌も突き放し、また抱き込んで微妙。編曲丸山雅仁が花舞台を目に見せた。

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夢の隣り

坂口照幸
作曲:弦哲也
唄:
前川清

 もう寂しい心の旅には出ない。あなたの夢の隣りで生きる...という意の、歌い納め2行分の歌詞が結論。そこまでのあれこれを9行分、坂口照幸の詞と弦哲也の曲が積み重ねる。前川清の歌の野放図さと粘着力、独特の持ち前を生かす作戦だろう。

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東京坂道物語

作詞:さとうしろう
作曲:弦哲也
唄:
清水博正

 清水博正が"その気"になると、歌がうねって小節ころころ、独特である。それを歌い出しの歌詞2行分で存分にさせ、後半は硬派ふうに、率直に歌い上げさせた道中もの仕立て。そのさじ加減の妙と、さとうしろうの詞の、坂づくしのアイデアが面白かった。

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紫陽花しぐれ

作詞:のせよしあき
作曲:花笠薫
唄:
千葉一夫

 逢瀬ひとときの思い出を、あれこれ一途に言い募る歌詞はのせよしあき。それを意に関せずとばかり、歌い回す曲に乗せたのが花笠薫。ミスマッチみたいに、寄り添い損なう二つの要素を、間に入った千葉一夫がこれまた彼流の歌で、スタスタと歌った。う~む...。

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忘れ雪

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:
野中彩央里

 雪景色の中の別れを、女の側から思いつめて語るのは仁井谷俊也の詞。ニヤニヤしながら、徳久広司がそれにムード歌謡ふうな曲をつけた。面白がってか丸山雅仁のアレンジは、サックスがリードしていかにもそれらしい。歌の野中は自分らしさづくりに大忙しだ。