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2016年1月のマンスリーニュース

2017年05月02日更新

演歌が元気ないい年に!

 私ごとだが、大阪で越年した。新歌舞伎座の川中美幸新春公演に参加してのこと。元日は西成・ジャンジャン横丁の「春」で同業の友人と飲む。どら声張り上げてカラオケ狂いが絶えぬ店だった。別の夜に、宿舎で今回の15曲を聞いた。風変わりな新人の拾いものがあり、中堅どころの挑戦があり、ベテラン作詞家の実感しみじみソングがあり・どや顔・をした作詞家の歌もありで、演歌がみんな元気だった。時代は剣呑な方向へ加速するが、いい年にせねばとしみじみ思った。

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音信川

作詞:仁井谷俊也
作曲:四方章人
唄:
永井裕子

 日暮れ、山の端、月の影...と、歌い出しの1行分を、永井の歌はこざっぱりと出た。練れた声味でさりげない表現。歌の後半は声を張るが、余分な感情移入が少ないから歌がすっきりとし、景色が見えた。音信川は山口県長門湯本温泉に流れる川だそうな。

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母きずな

作詞:たきのえいじ
作曲:あらい玉英
唄:
エドアルド

 サンパウロの生まれと育ちだが、歌は日本人そのもの。高めの声のしならせ方、曲が求める表現の緩急、決めるところはちゃんと決める情の濃さなど、なかなかだ。僕も審査をしたNAK全国大会優勝から15年めの33歳、日本でバイト暮らしをした精進の成果か。

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悠々と...

作詞:池田充男
作曲:船村徹
唄:
鳥羽一郎

 旅で人生終われたら、悔いはない。散骨すれば原生花園の花と咲く。もう一度生まれたら、やはり歌を抱き、北海道をさすらうだろう...。これは"北の詩人"池田充男の感慨そのものの歌。「うむ」と曲をつけたのは船村徹、鳥羽一郎は歌の終わりで空を仰いでいる。

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女人荒野

作詞:喜多條忠
作曲:杉本眞人
唄:
石川さゆり

 「どうしてる?」と聞いたら「いいの書いたから聞いて」と喜多條忠が答えた。あれは弦哲也50周年のパーティーの席か。さっそく聴いて「なるほど」と思った。演歌の枠にはめない自由な詞と、杉本眞人の曲の組み合わせが生きて、石川さゆりが一芝居している。

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夢見坂

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:
北野まち子

 「ひとり坂」「ふたり坂」「なさけ坂」「のぞみ坂」に「夢見坂」をかけた詞は仁井谷俊也。そんな女心のまわり道を徳久広司がオーソドックスな演歌にした。北野の歌も昔ながらの節回し、感情移入。もうベテランのキャリアだろうに、声味も節も崩れていない。

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帰らんちゃよか

作詞:関島秀樹
作曲:関島秀樹
唄:
島津亜矢

 九州の父親が都会で暮らす娘を案じる長めの歌。島津が「紅白歌合戦」で歌って、ちょいとした聞きものにした。父の言い分がこまごまと具体的だから、身につまされた向きも多かったろう。島津の芸の幅を見直し、得心した向きも少なくなかったはずだ。

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四万十川

作詞:千葉幸雄
作曲:中村典正
唄:
三山ひろし

 ビタミンボイスがしわがれ気味に、少し太めに聞こえた。それが中村典正の骨太の曲に似合った。四万十川をネタに、ご当地もの望郷ソングかと思わせて、人生訓に収める千葉幸雄の詞は、前作『お岩木山』を踏襲している。これが三山の色になるのかも知れない。

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竜虎伝

作詞:仁井谷俊也
作曲:水森英夫
唄:
和田青児

 「男なら、男なら」と男心を鼓舞する5行詞3節、仁井谷俊也の詞、水森英夫の曲は、村田英雄に似合ったろうタイプだ。それを和田が、声を励まし、節を工夫して、太めの歌にした。歌の"ため"声の"ねばり"節の"はじけ方"は、師匠北島三郎譲りだろうか。

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人生に乾杯

作詞:たかたかし
作曲:原譲二
唄:
北島三郎

 「桜咲くこの国に、生かされて励まされ...」と、熟年の男の感慨を詞にしたのはたかたかし。本人の実感が背後にあるタイプを、受け取った北島も似たような世代だから、共感の曲や歌にしたろう。二人とももはや、色恋ばかりが歌じゃないとでもいいたげだ。

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ひとり北国

作詞:吉幾三
作曲:吉幾三
唄:
吉幾三

 歌い出しをさらっと歌う。「おや?」と思わせておいて、歌詞の2行目後半「北へ北へ北へ」と重ねれば、おなじみのだみ声、パワフルな吉節だ。「そう来なくっちゃ!」と、客を乗せる手口か。何でもアリの彼、3曲入りCDの3曲め『うちのかみさん』も面白い。

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夜汽車

作詞:さわだすずこ
作曲:弦哲也
唄:
山崎ていじ

 男のUターンソング、地方移住が話題のご時世向きかも知れない。そこをさわだすずこの詞が、出迎える親父の顔や見送った女の涙を小道具に、歌をいろっぽくした。作曲は弦哲也、編曲は南郷達也、前奏、歌なか、後奏で汽笛が鳴って、山崎の歌も"その気"だ。

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男の海峡

作詞:荒木とよひさ
作曲:弦哲也
唄:
神野美伽

 海で生まれて海しか知らぬ荒くれ漁師が、そばで眠る坊主を「どんな夢を見てるやら」と見守る歌。外は吹雪らしく、弦哲也の曲、伊戸のりおの編曲に野趣がある。ニューヨークへ遠征、演歌の心を問うた神野のロックスピリットが垣間見えて、ご同慶のいたりだ。

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