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2016年10月のマンスリーニュース

2017年05月02日更新

「そこそこ」で納まるなよ!

 9月30日にやった「星野哲郎メモリアル・ゴルフコンペ」の前夜、酔った岡千秋が「バカをやらなきゃ、歌なんか書けやしねぇ」と力説、徳久広司が「当たり前でしょ」とでも言いたげにニコニコ。それはそうだと、僕はあいづちを打った。世間並みの常識に収まり切れない熱いものがあるから、人は歌を書き、歌で芸をやる。今月の歌10曲を聞いて、そんな夜を思い出した。不良がやる仕事なら不良らしく「そこそこ」の出来じゃない歌で、たまには世間を驚かしちゃどうだろう?

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おんなの情歌

作詞:田久保真見
作曲:あらい玉英
唄:
服部浩子

 別れを予感する女主人公は、そんな夜に一番好きな紅を引く。抱いて欲しいと言えないから、男の肩を小さく噛んだりする。田久保真見の詞は、女性らしいこまやかな表現だ。
 あらい玉英の、ゆるみたるみのない曲を、服部浩子が切なげに歌う。ビブラート大きめな歌い伸ばし、時おり歌でシナを作って、これが近ごろのこの人流か。
 以前の彼女は、作品に何も足さず、何も引かずに、率直な歌唱が特徴だった。それがこういうふうに変わったことに、この人の歌って来た年月がしのばれる。

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星の川

作詞:たきのえいじ
作曲:あらい玉英
唄:
エドアルド

 前作に続いての母恋いソング。たきのえいじの詞がそれにこだわるのは、エドアルドの生い立ちを素材にするせいだろう。ブラジル出身で、日本のカラオケ大会で認められたが、その後長くアルバイトで生活、デビューにこぎつけた経歴も、それに似合うか。
 歌声は哀愁をたたえて、歌唱もしっかりしている。歌う目線がきちんと上を向き、感情におぼれていないから、妙にのびのびとした切なさが、作品を満たす。
こういう悲しみの表現は、もしかすると日本の歌い手たちには無いものかも知れない。

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人生夢桜

作詞:下地亜記子
作曲:岡千秋
唄:
原田悠里

 笑顔千両で春を待つ主人公が、その思いを人生論ふうに展開する詞は下地亜記子。岡千秋の曲と前田俊明の編曲が、それを景気よく弾ませて、浪曲テイストに仕立てた。各コーラス歌い収めの歌詞2行分にその妙があり、原田悠里の歌も、すっかり"その気"だ。

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幾多の恩

作詞:麻こよみ
作曲:原譲二
唄:
北島三郎

 傘寿の80才、歌手生活55周年の北島三郎が、その感慨を重ねるように歌う。人との出会いと受けた恩義を思い返し、人生の"これまで"と"これから"がテーマ。10月5日、北島が開いた感謝の宴の閉会時にも流され、作詞した麻こよみは気分がよさそうだった。

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信濃慕情

作詞:悠木圭子
作曲:鈴木淳
唄:
入山アキ子

 信濃路をひとり旅する女性の傷心ソング。悠木圭子・鈴木淳コンビの、手慣れた歌づくりと言っていいか。入山アキ子の歌声は温かく、歌唱は律気。素人っぽい歌い出しの歌詞2行分がそうなのだが、元看護師さんと聞いて「そうか、そうか」と合点がいった。

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十勝の春~ふるさとに春の雪~

作詞:円香乃
作曲:岡千秋
唄:
戸川よし乃

 高音から出る岡千秋の曲を、戸川よし乃がのうのうと歌う。『北国の春』を思わせるタイプの曲で、ほっこりとした聞き心地が残る。円香乃の詞と組んで、岡はこの人にあれこれ、手と品をかえの歌づくり。エンディングのセリフ「ただ今」「おかえり」には笑った。

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北海おとこ船

作詞:たなかゆきを
作曲:村沢良介
唄:
木原たけし

 木原たけしは声味と節回しで聞かせる歌手。東北なまりが残るあたりが独特のスパイスになる。詞のたなかゆきを、曲の村沢良介のベテラン・コンビが、そんな木原に漁師歌を作った。のびのびと木原の声が立つあたり、ツボを心得た歌づくりと言えよう。

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明日舟

作詞:石原信一
作曲:岡千秋
唄:
北野まち子

 「泣いて笑って、笑って泣いて」を3コーラスのサビに使って、幸せ薄い女主人公が明日を夢みるおなじみソング。岡千秋の曲に、ここのところ量産気味の石原信一の詞だが、さて今後、人生の彫りの深さをどう描けるのか。北野まち子の歌は、高音部で艶を作った。

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たそがれ本線

作詞:石原信一
作曲:聖川湧
唄:
山本あき

 山本あきの可憐声が、各コーラス歌い収めでかすれ気味に情感を増す。これも石原信一の詞に、曲は聖川湧。夕陽に染まる紅い海と、わだちの音きしませる列車が道具立てだが、その割に「動き」が感じられない。歌書きにはもう少し、詞の芯に粘り腰が欲しい。

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みちづれ川

作詞:麻こよみ
作曲:徳久広司
唄:
小金沢昇司

 小金沢昇司は、とても器用な歌手である。わがままな男が長く女を道づれにして「ごめんよ、ごめんな」と詫びる歌を、それなりの口調を作って歌う。徳久広司の曲が気分のいい展開で、愚痴ソングを快くした。彼と小金沢にある一種の不良性が少しは生きたか?

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