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2016年5月のマンスリーニュース

2017年05月02日更新
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ふれ逢い橋

作詞:たかたかし
作曲:市川昭介
唄:
長山洋子

 《ほほう!》と感じ入った。歌の舞台は深川あたり。住む人は優しく、ぬくもりに満ちている。そこへ、幼な子を抱えて逃げ込んだ女が主人公。癒され、励まされて生きていくさまが描かれる。
 歌の情と節回しが細やかなのだ。歌いながら語る歌声が、言葉ひとつひとつを、粒立てている。歌詞の語尾までゆるがせにせず、思いが揺れながら、次の行の頭の情感につながる。
 民謡からアイドルポップスを経て演歌に転じた長山洋子は、彼女なりの艶歌へ到達した。市川昭介の遺作が、長山をそこへ導いたか。

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焰歌(えんか)

作詞:吉田旺
作曲:船村徹
唄:
西方裕之

 体調が芳しくなく、人前に出ることが絶えてない作詞家吉田旺が、歌づくりでは健在であることを喜びたい。不倫の恋の女主人公の心情を描く5行詞3節。まるで艶歌のジグソーパズルみたいに、意味深な言葉を巧みにはめ込んで、古風だがゆるみたるみがない。
 吉田流のそんないい詞に、曲をつけたのは船村徹、アレンジは蔦将包で、こちらもそれぞれ、彼ららしさがなかなか。
 諦めて、それだから一途に燃える女心を歌った西方裕之は、ていねいさに心を砕いた。とても一気には歌えなかったのだろう。

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小樽絶唱

作詞:たきのえいじ
作曲:弦哲也
唄:
清水博正

 歯切れがよくなったたきのえいじの詞を、押し切るように清水博正が歌う。彼一流の声の繰り方で、うねる歌唱が独特のフィーリングだ。力のあるサビのメロディーで、清水を一回り大きくしたのは弦哲也の曲。南郷達也の編曲が、ドラマチックに清水をあおった。

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九官鳥

作詞:仁井谷俊也
作曲:弦哲也
唄:
川野夏美

 歌い出しの歌詞2行分の歌唱が、息づかいも含めてすっかりおとな。穏やかめの6行から、一気にヤマを張った後半3行分に、切迫感が濃い。作品への"入り方"が、川野夏美のこのところの進境を示す。詞よりは曲の起伏が軸の歌唱。本人も達成感を感じていよう。

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しぐれ坂

作詞:下地亜記子
作曲:南郷孝
唄:
真木柚布子

 歌詞1行目の最後の言葉の"置き方"がいい。だから2行目の頭の"入り方"が生きた。歌というよりは、セリフに似た呼吸と語り口。それが切羽づまるのが、一番と二番の間にあるセリフだろうか。真木柚布子は、作品を"演じる"ことに長けた歌手と合点がいく。

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うぬぼれ

作詞:鈴木紀代
作曲:影山時則
唄:
ジェロ

 一番で言えば「抱いて」が5回も出て来る歌詞の中盤は、影山時則の曲がムード歌謡ふうになる。そこを委細かまわず、ジェロの歌唱は一気に行く。"本格演歌"を全力投球...の気構えがあってのことか。デビュー8年め、地力のある彼の"どうだ顔"も見えた。

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因幡なさけ唄

作詞:水木れいじ
作曲:中村典正
唄:
水沢明美

 もともと歌味が"ハレ"の人である。だから、艶歌的湿度は薄めで、歌があけすけな口調に聞える。それが浮草ぐらしの女の心情を、かわいく居直らせた。主人公がうじうじしない。歌はもたれない。作品に似合いのこの人の個性。中村典正はこんな曲も書くんだ。

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かすみ草エレジー

作詞:田久保真見
作曲:山崎ハコ
唄:
あさみちゆき

 田久保真見の詞は、もともと乾き気味の感触でじめつかない。山崎ハコの曲はひなびたいじらしさの情感で濡れる。その二色に化学変化を起こさせるとどうなる?の試みが見える作品。あさみちゆきの歌で、結果、かすみ草のはかなさと強さが交錯した。

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蒼空の神話

作詞:荒木とよひさ
作曲:三木たかし
唄:
チェウニ

 チェウニの力量と声味の魅力に出会える"聴かせ歌"。力量は前半から中盤の語り口にあり、声味は後半、高音部ににじむ健気さやいじらしさに生きる。荒木とよひさの詞で、各社から出る三木たかし遺作の一つ。テレサとチェウニの違いは、歌の芯の強さかな。

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