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2016年7月のマンスリーニュース

2017年05月02日更新
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木曽川みれん

作詞:坂口照幸
作曲:水森英夫
唄:
水田竜子

 ひょいと聞いての感想は、股旅ものか、民謡調か...になる。詞、曲、歌がどこかひなびて、のどかに聞こえるせいだ。ところが内容が、逢えぬ男を木曽路に追う女の、未練唄だから面白い。
 坂口照幸の詞は、彼の顔が見えるくらいにコツコツと、地名に女心をからませる。水森英夫の曲は例によって、のびのび歌わせるタイプ。その辺をうまい具合に、水田竜子が声と節で乗り切った。
 彼女はいつも、制作側の狙いに寄り添い、歌を時流に合わせて来た。これも才能だろう。

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うれし涙

作詞:紙中礼子
作曲:南乃星太
唄:
半田浩二

 男がふと立ち止まり、いろいろあった半生を振り返る。サビの歌詞にある6種類の涙が象徴的で、それを笑い飛ばして今日があると、男はうれし涙になる。
 フォーク・タッチの歌い出しが穏やかだが、後半はきちんと歌謡曲のたかぶり方。作詞は紙中礼子、作曲は耳なれぬペンネームの南乃星太、ほどの良い哀感がなかなかだ。
 作品の面白さを生かしたのは、半田浩二の歌唱。中山大三郎の弟子からスタートして、長い歌手生活のあれこれが、本音っぽく生きた。キャリアが歌わせた境地だろう。

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ひとり北夜行

作詞:円香乃
作曲:岡千秋
唄:
井上由美子

 汽車もののテンポとリズムに乗って、井上由美子の歌が弾み加減。それが心地良く聞こえるのは、歌手としての彼女の、肚が据わった歌唱に淀みがないせい。ことにア行がきっぱり晴れ晴れと響いて、歌い収めの高音が切ない。この人の進境、著しいものがある。

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鴎の海峡

作詞:石原信一
作曲:桧原さとし
唄:
杜このみ

 歌い出しの歌詞2行分を、曲も歌もスタスタと行って、3行めにガツンと高音部が来る。杜このみの声が悲痛にたかぶるから、聞き手の気分はここでもって行かれる。6行詞の歌謡曲なのに形は2ハーフ。そのガツンが一番オイシイことを示す狙いだろう。

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鳴り砂の女

作詞:建石一
作曲:徳久広司
唄:
永井みゆき

 これも6行詞の2ハーフ。しかもサビあたまの勢いで、歌い出しから高音のガツンがたたみ込む。永井みゆきの歌がこれまでにない訴求力を持った。南郷達也の編曲が、サックスを前面に、おしまいまで歌をあおる。永井の転機の1曲になるかも知れない。

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別れの桟橋

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:
野中彩央里

 そこまでやるか!と思うくらいに、6行詞の最後の1行の頭が、めいっぱいの高音である。作曲の徳久広司は、カラオケ族用の歌い易さを度外視した。あるいは歌えるなら歌ってご覧!の意か? 野中彩央里が細めの声をしならせて、そんな冒険を形にした。

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浮世草

作詞:坂口照幸
作曲:徳久広司
唄:
小桜舞子

 こちらは粛々と「王道狙い」の歌づくりらしい。小桜舞子にはそれが似合いと考えるのだろうが、しかし、歌詞にこだわりシナを作る歌い方は避けた。求めたのはやはり、のびのび感か。各節の始めの2行分、坂口照幸の詞にこれもコツコツ、工夫の跡が見える。

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哀愁の酒

作詞:仁井谷俊也
作曲:水森英夫
唄:
キム・ヨンジャ

 ヨンジャはあえて高音を使わなくても、ガツンと行ける歌手だ。中、低音で歌をゆすり、流れを作って、聞く側へ迫って来る。情緒てんめんのワサビ味はやめて、コトバのつかまえ方もラフ。サビの高音「逢いに来てよ」の「ア」を、唸り加減にいって色を作った。

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無法松の恋(挿入歌)

作詞:池田政之
作曲:弦哲也
唄:
中村美律子

 歌は一番と二番だけ、間のアンコが浪曲で長め。30周年記念に作った歌謡浪曲の挿入歌だが、そのミニ版の楽しさがある。浪曲の魅力は①声②節③啖呵...だが、中村美律子はお手のもの。巻き舌の語り口の幕切れは、大向こうにニッコリ...が目に見えるようだ。

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おんなの真田丸

作詞:鮫島琉星
作曲:花笠薫
唄:
三笠優子

 三笠優子の芸も、年の功を加えてなかなかのもの。歌詞を一言ずつ、きっぱり歌って浪曲寄りの説得力を持つ。鮫島琉星の詞、花笠薫の曲もツボを得て、大河ドラマ便乗?の域を超えた。各節の歌い収めの高音を歌い放つ三笠を、女村田英雄に見立ては失礼か?

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お行きなさい

作詞:かず翼
作曲:徳久広司
唄:
内田あかり

 今月の11曲中、唯一のポップス系。これも作曲は徳久広司で、都会暮らしの女性の倦怠感をにじませる。内田あかりの歌は委細承知の趣きで、彼女の半生がたくまずに味に出る。かず翼の8行詞2ハーフのおしまいの2行分、歌い上げて決めるあたりは、洋風ガツンかな?

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