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2016年8月のマンスリーニュース

2017年05月02日更新

編曲の前田、南郷が腕比べ!

 10曲聴いて気がついた。石川さゆりの『恋しゅうて』の編曲が坂本昌之なのを除けば、前田俊明が5曲、南郷達也が4曲のツバ競り合い。しかも、前田が『北海無法松』『北の出世船』南郷が『女は抱かれて鮎になる』『北海夫婦唄』と、大作や勇壮ソングで腕を振るい、独自の色を作っている。
 一般の方には、聴き比べる機会が少なかろうが、気をつけて聴いてみて欲しい。演歌歌謡曲の編曲で、人気を二分する二人の、工夫のほどが見えるはず。ちなみに彼らは、僕ら仲町会のお仲間で、ゴルフでも腕を競うのだ。

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女は抱かれて鮎になる

作詞:荒木とよひさ
作曲:弦哲也
唄:
坂本冬美

 7月8日放送開始のTBSテレビ「神の舌を持つ男」の主題歌だから、もう耳にした向きも多いだろう。演出を担当する堤幸彦から「どまん中の演歌を」と注文されたと聞けば「なるほど!」とうなずける作品だ。
 荒木とよひさの詞が2行ずつ5ブロックで1コーラス10行。それを弦哲也の曲が、5つの階段を昇り降りする。近ごろ稀有のドラマチックな大作だ。
 それを冬美が、実に彼女らしい表現で歌って、気負いもゆるみたるみもない。官能的な詞世界だが、それに堕ちぬ品位も彼女流か。

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北の出世船

作詞:仁井谷俊也
作曲:四方章人
唄:
福田こうへい

 『峠越え』以来、2年4カ月ぶりの福田こうへいの新作。いろいろ事情があっての足踏みの後だが、歌声の若々しさと彼なりの覇気が歌を彩っていて、なによりだ。
 もともと民謡調は、声の味と節回しの巧みさが勝負のジャンル。そこを作曲の四方章人が生かした。歌い出しの「霧がヨー 霧がほどけた...」と、歌詞を繰り返したのは、歌を高音からスタートするための細工。高音で出ればサビと歌い納めも高音になって、W型メロの典型、曲の訴求力が強くなる。福田の小節コロコロも、冒頭から出て来てなかなかだ。

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一途な女

作詞:松井由利夫
作曲:岡千秋
唄:
大川栄策

 アルバム収録の、旧作の新録音、改題...と聞けば合点がいく。松井由利夫が書く古風だがきっちり決まった5行詞、岡千秋の曲も起承転結いい型で、大川の高音の声味、小節回し、歌のゆすり方を生かしている。昔なら春日八郎に似合いそうな、昭和テイストだ。

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恋しゅうて

作詞:喜多條忠
作曲:杉本眞人
唄:
石川さゆり

 前作に引き続き、さゆりが詞の喜多條忠、曲の杉本眞人とトリオを組んだ。譜割り細かめの杉本メロ、それにつられぬ喜多條の言葉少なめの詞が、弾み加減で独特の語り口を作る。未練ソングだが未練っぽくない表現で、さゆりは手慣れた歌の演じ方をした。

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あかね雲

作詞:幸村リウ
作曲:西つよし
唄:
竹村こずえ

 ドスが利いた声味の持ち主と思っていたが、竹村は今回、そのドスの部分をひっこめた。声を張って、「決める」部分を「置きに行」く歌い方で、その分だけ醒めた情感が前面に出る。各コーラスの歌い納め「あかね雲~」で伸ばすあたり、視線が遠めを見上げるのもいい。

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松江恋しぐれ

作詞:さとうしろう
作曲:弦哲也
唄:
永井裕子

 歌詞の言葉ひとつひとつにこだわらず、メロディーの起伏に悪ノリもせず、すうっと一筆描きの歌にする。永井裕子のこのところの進境だろう。地名や名所あれこれのさとうしろうの詞。暖かめ優しげの弦哲也の曲で、こざっぱりした絵葉書ソングが出来上がった。

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北海夫婦唄

作詞:柴田ちくどう
作曲:徳久広司
唄:
鳥羽一郎

 日高の昆布、サラブレッドの牧場などが、詞の小道具。出稼ぎ夫が旅支度、留守居の女房が冬支度...と、これは語呂合わせ。そんな世界をのうのうと歌う鳥羽に、サビあたり意表を衝く中、低音を使ったのが徳久広司の曲。聴き進むとひたひたと、妙に沁みる歌だ。

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ふたりで一つの人生を

作詞:たかたかし
作曲:弦哲也
唄:
山本譲二

 ゆったり、明るめに出る歌詞1行分で、この歌の気分は決まった。詞のたかたかし、曲の弦哲也の、やりたいことがすぐに判る。男っぽさが売りの山本譲二のキャラから、男っぽさを引っ込めて、逆に男心の暖かさを作る算段。譲二もそのところをよく判っている。

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北海無法松

作詞:新條カオル
作曲:岡千秋
唄:
細川たかし

 無法松は便利なキャラ。以前、頭に「女」をつけた例があったが、新條カオルは「北海」を乗せた。元祖は九州だが、どこへ持って行ってもそれなりに生きる。男っぽく勇ましく、一途なことが共通点だが、細川たかしは今回、声に頼ることなく、すっきりと仕立てた。

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雪舞いの宿

作詞:仁井谷俊也
作曲:徳久広司
唄:
藤原浩

 思いのたけを、ためにためて突っ込んで歌う。息づかいも工夫して、狙いは情緒てんめんの世界。美声の持ち主の藤原浩が、すっかりそれを返上したみたいな唱法を試る。湯の宿ものの未練歌。女ごころはかくや...とばかりの歌唱で、藤原は転機を探るようだ。

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