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2018年11月のマンスリーニュース

2019年01月04日更新

石田光輝、元気なんだな!

 『半分のれん』というタイトルが思わせぶりで、逆にキャッチー。歌を聞いてその意味をほほえましく合点した。川中美幸が歌った作曲家協会と作詩家協会が募集したソングコンテストのグランプリ作。特段に目新しさはないが、よくある酒場風景でも、視線を変えたり、掘り下げたりすれば、「なるほど」の新味を作れる一例だろうか。そう言えば、カップリング作『ちゃんちき小町』の作曲者石田光輝は、昔、僕がかかわっていたころからの常連。米子で元気にやっていそうなのが嬉しい。

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なみだ雲

作詞:羽衣マリコ
作曲:弦哲也
唄:
川野夏美

 2013年10月のマンスリーに、この人の『悲別~かなしべつ~』を〝うまい歌〟よりは〝いい歌〟と書いた。作曲家弦哲也が切り開いたドラマチック路線。以来ずっと弦の手腕と川野夏美の進化を追跡して来た。
 今作はシャンソン風味の2ハーフ。歌詞の4行ずつを序破急の〝序〟と〝破〟に仕立て、おしまいの2行を〝急〟より心持ち穏やかめに収めた曲づくりだ。面白いのは、芝居なら1番が第一幕、2番が第二幕のような歌唱の情感のせり上がり。川野の新境地には、羽衣マリコの詞、川村栄二の編曲が必要だったのだろうな。

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春待ち草

作詞:石原信一
作曲:田尾将実
唄:
走裕介

 『流氷の駅』からもう10周年になるのか。走裕介のデビュー発表会に彼の故郷網走へ出かけたことを思い出す。気温30度のマレーシアから帰り、その足で流氷祭りへ。気温差40数度の厳冬に音を上げたものだ。
 作詞が石原信一、作曲が田尾将実の『春待ち草』は、再会した男女のほのぼのを語るスローワルツ。亡くなった師匠船村徹作品で、声と節を聞かせて来た走には、新しい挑戦になる。歌詞4行めのサビが、意表を衝くメロディーの展開を示すあたりが、走らしい聞かせどころ。船村の長男蔦将包の編曲がサポートしている。

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ひとり象潟

作詞:麻こよみ
作曲:新井利昌
唄:
花咲ゆき美

 歌詞の1番で言えば「信じたくない 信じない」のサビから「ひとり象潟 あなたに逢いたい」の「逢いたい」を心の叫びにしたかったのだろう。風景を淡々と描く歌い出しから、そういう形に切迫した展開を示すのが、ベテラン新井利昌の律儀な曲づくり。花咲ゆき美の歌唱はよく心得ていて、彼女なりに女心の一途さを率直に表現した。

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半分のれん

作詞:岸かいせい
作曲:左峰捨比古
唄:
川中美幸

 春日はるみの芸名で歌い、不発のまま大阪へ戻った川中美幸は、母親のお好み焼き屋で一時、看板娘だった。その時期の客あしらいを思わせる明るさと弾み方が、歌の前半にあって若々しい。それが後半一転して、好いた客と二人きりを願ういじらしさをしっかり伝える。なかなかの役者ぶりと言えようか。ソングコンテスト受賞作だ。

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礼文水道

作詞:森田いづみ
作曲:岡千秋
唄:
水田竜子

 森田いづみの詞は、礼文水道あたりの景色をあれこれ見せて、連絡船に女心の未練を託す。情感を表すのはもっぱら岡千秋の曲と前田俊明のアレンジで、そのせいだろうが、水田竜子の歌の眼差しは、はるか遠めを見て明るい。「ひとり見つめる」とか「祈るおんなの」とか「揺れて彷徨う」とかの収めにあるキイワードが、表現のよすがになっていそうだ。

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最終出船

作詞:麻こよみ
作曲:岡千秋
唄:
山口ひろみ

 一般論だが、歌手の芸の〝しどころ〟は高音のサビの部分。それだけに、そこに到る歌い出しをどうクリアするかに苦心する。逆にその部分で魅力的な語り口を示せれば「うまいな」の第一印象が稼げる。山口ひろみのうまさはそこで点数を挙げ、サビもいなし加減に全開放しないところ。声を〝抑え〟て思いを〝突く〟唱法が、都はるみ調に聞こえた。

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