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新歩道橋

2018年9月22日更新


新歩道橋979回

 作曲家船村徹の墓は、神奈川の藤沢・片瀬の高台にある。眼下の相模湾越しは正面に富士山、左手に江ノ島を望み、右手手前には小学校。ウィークデイには子供たちの声がにぎやかだろう。 《鳳楽院酣絃徹謠大居士には、似合いの場所ということか...》 高台と聞いて坂を上る覚・・・

新歩道橋978回

 肩を叩かれて振り向いたら、堀内孝雄の笑顔があった。久しぶりだから「やあやあ!」「どうもどうも...」になる。パーティーの一隅での立ち話。 「みんな逝っちまうからさ。頑張っていてよ。ま、あんた、あんまり変わらないから、安心するけどさ」 励まされるのは僕の方で・・・

新歩道橋977回

 人間国宝の娘という良血がいる。父が文楽の人形遣いで二世桐竹勘十郎。子供のころから役者になり、今は本格派女優で大学教授、大阪府の教育委員ほかを歴任する。三林京子の略歴だ。そうかと思えば九州大牟田の、芝居小屋の奈落で生まれたと言う男もいる。美貌が「生きる博多人・・・

新歩道橋976回

 川中美幸〝笑劇場〟は健在である。3月の大阪・新歌舞伎座公演、客席も舞台裏も笑い声が絶えない。芝居も楽しさに的を絞って、川口松太郎作、金子良次潤色・演出の「めおと喧嘩ラプソディー」の1幕3場。70分の小品だが、2組の夫婦の痴話喧嘩の実態!? が関西弁でポンポ・・・

新歩道橋975回

 改めて船村徹を聴く。 「やっぱりいいね。こういうふうにまとめるとなお、実にいい」 元NHKの益弘泰男さんがしみじみとした声になった。3月1日午後の中野サンプラザホールの楽屋。モニターには今しがた飛び込んで来た鳥羽一郎の、音合わせが写っている。NHKが3月2・・・

新歩道橋974回

 〽子でも孫でもない他人(ひと)の子を、火の粉背おって育ててくれた... 2月23日午後、音羽・護国寺に男たちの歌声が湧いた。急死した作曲家船村徹の出棺で、歌いながら担っていたのは鳥羽一郎を筆頭にした弟子たちと、船村のコンサートを長くサポートして来た仲間たち・・・

新歩道橋973回

 バスが第一京浜を走る。僕はちょいとした冒険気分だ。ン? 金杉橋か、この左奥には昔、スポーツニッポン新聞社があった。僕が19才から53才までの、いわば青春を捧げたところだ。高速へ上がるはずだが、何? 入り口は芝公園ではないのか! バスは僕の予想を裏切って、平・・・

新歩道橋972回

 1月31日の夜、奇妙な酒盛りをやった。シャレの呼びかけに集まったのは、小西会のメンバーを軸に28名ほど。場所は銀座5丁目の「いしかわ五右衛門」で、ここ10数年、僕が通いつめた店だ。集合を午後8時30分にしたのは、なじみの客がひとわたり、名残を惜しんだあとの・・・

新歩道橋971回

 お祝いの会と言っても、今回はものが文化勲章で、受章者が師匠の船村徹である。打ち合わせは最初から緊張したし思い惑いもした。相棒は例によってミュージック・リポートの隣りのページでコラム連載中の境弘邦。いつのころからか「表の小西、裏の境」などと戯れ言を言いながら・・・

新歩道橋970回

 歌巧者が歌うと時折り、歌が聴き手の僕の前を横に通り過ぎる。作品に描かれたドラマが、横断帯みたいな絵になって感じるのだ。歌い手の意識が無意識のうちに「みんな」に聴かせているタイプで、それはそれで歌表現の一つ。僕が好むのはそれとは対照的に、歌の心情が縦に、聴き・・・
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