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"当面"秋元順子の いい歌が出来た!

2020年8月 2日更新


殻を打ち破れ223


 超深夜型だから、朝の起床は遅め。すぐにテレビのスイッチを入れる。社会の窓を開ける心地で、チャンネルを合わせるのはニュースや情報番組。それをたれ流しに聞き流しながら、朝食はもう昼間近かだ。新聞社勤めのころから変わらぬペースだが、その後がいけない、新型コロナウイルスの蔓延を阻止するための非常事態宣言下では、外出自粛で人に会えないし芸能イベントも全部中止。これでは商売あがったりで、18才でスポーツニッポン新聞社のアルバイトのボーヤに拾われて以後65年、こんなに働かない日々など無かった。

 とは言え、秋元順子のシングルは一枚仕上げた。喜多條忠作詞、杉本眞人作曲、矢野立美編曲で、『帰れない夜のバラード』と『横濱(ハマ)のもへじ』のカップリング。3月中に詞曲があがり、アレンジの打合わせもすませて、4月初旬に音録り、中旬に歌ダビというスケジュール。一流の仕事師たちとのつき合いは嬉しいもので、作業はいい方向へ淀みなく進む。

 ♪鳴かないカラスが ネオンの上で フラれたあたしを 笑っているよ...

 バラードの方の歌い出しの歌詞2行が、第1稿とガラッと変わって面白くなっているのを

 「杉本ちゃんとやり取りしてたら、ふっと出て来たんだよね...」

 と、喜多條が笑ったりする。

 曲調は秋元の希望通りである。前作の『たそがれ坂の二日月』は詞曲同じコンビで、おとなの女の別れ歌を、軽く弾み加減にした。

 ≪この人には今、こんな感じのものを歌わせたい≫

 と、僕のプロデュースはいつも、こちらの思い込みを形にする。過去に幾つかのヒット曲を持つが、みんなこのスタイル。ところが秋元の今回は打ち合わせの席で

 「バラードがお望みでしょ?それでいいよね」

 「ええ、ええ、是非それでお願いします」

 と意見が一致。うまいことその流れの作品になったから、歌の仕上がりも上々の秋元流。サビあたりが少し強めの感情表現で「遊びの限りを尽くした男(やつ)」との別れを、あの含みのあるいい声に乗せた。

 「今回も楽しいお仕事になりました」

 と言う担当の湊尚子ディレクターのメモ付きで、5月末には完成盤が届いた。バーのカウンターにすわる秋元の目線が、ひょいと男を振り向き加減のジャケット写真で、これも「いいね、いいね」になる。

 しかしまあ、45月は暇だった。たまにかかって来る電話は、僕の安否確認。年寄りで基礎疾患持ちが一番危いとされるから、

 「まさか出歩いたりしてないだろうね。7回りめの年男でしょ。酒盛りも控えることです」

 と相手の声音は優しげだ。「一歩も外へ出ない日だってあるよ」と答えると、先方は「えっ?」と聞き返す。僕はよほどの働き者か出好きと思われていたらしい。何のことはない、テレビの前でゴロゴロ、猫と添い寝をするか、本を読み、たまったCDを聴き、たまにはウォーキングも...と、ごく怠惰な日々。

 「これで先々、元のペースに戻れるのかしらねぇ」

 と案じたら、リモートとやらで珍しく家にずっと居るカミサンに

 「80過ぎてんですから、もうそのままでいいんです」

 と、軽くいなされた。てことはこれが僕の「新しい日常」とやらになるのかしら?

 それにしても、アベノマスクはまだ来ないし、一人10万円も音沙汰なし。首相の「躊躇なく断行」の言葉の意味を疑う。自粛についての指示や張り紙の「当面」と「当分」の混用もいささか気になる。「当面」は「さしあたり」で「当分」は「しばらくの間」の意だから「当面の間自粛」はないよね。


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