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手前ミソだが「快作」です。

2019年9月28日更新



 2019年夏、ベテラン歌手秋元順子のアルバムをプロデュースした。「令和元年の猫たち~秋元順子愛をこめて~」で、隠れた猫ソングの名作揃い。もともと誰かでカバーしたいとメモに書き止めていた作品群で、ひょんなことから秋元との縁でそれが実現した。

 浅川マキが生前大事にしていた「ふしあわせという名の猫」は寺山修司の詞。昔なかにし礼が自作自演したアルバム「マッチ箱の火事」からは「猫につけた鈴の音」で、面白おかしくやがて物哀しいシャンソン風味。阿久悠作品なら「シャム猫を抱いて」と「猫のファド」、荒木とよひさと三木たかしが趣向をこらした「NE-KO」といった具合い。中島みゆきの「なつかない猫」や山崎ハコの「ワルツの猫」もいいなと思い、おなじみの曲もあった方がいいかと、ちあき哲也の「ノラ」や意表を衝くアレンジ(桑山哲也)で「黒猫のタンゴ」を加えた。

 秋元の15周年記念盤だが、キャリアはゆうに40年。独特のいい声とさすがの力量で、彼女は初対面(?)の作品たちを見事に歌いこなしている。

 ジャケット写真は、訴える視線の猫のドアップ。折からの猫ブームの核心を捉える算段だ。「面白くて味わい深い作品集」と大方の好評を得て意を強くしている。

 新作は末尾の1曲「たそがれ坂の二日月」で、喜多條忠の詞に杉本眞人の曲。喜多條とは五木ひろしの「凍て鶴」以来の力仕事。杉本は秋元のリクエストだったが、いかにも彼らしい軽妙なメロディーとリズムに仕立てた。編曲は小粋なポップス系の川村栄二に頼む。この世界一流の面々を友人に持つことはありがたいもので、詞、曲、編曲、歌唱の4拍子が、あ・うんの呼吸であっという間に揃った。狙い通りのこの作品をシングルカット。こちらも9月の発売早々から好調の出足である。

 「やったね!」とばかりに打ち上げの酒で盛り上がったが、調子に乗った僕は月島あたりの街角で、秋元と熱いハグをした。合計150才超の抱擁に、担当の湊尚子ディレクター(キング)の眼が点になったものだ。


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