
新宿たずね人
作詞:石原信一作曲:徳久広司
唄:多岐川舞子

歌の舞台を仮に、新宿ゴールデン街とすると、時計が止まったままの歳月は40年近いかも知れない。若者世界が騒然としていた1970年前後を指すが、往時を思い返す感傷が、詞のところどころに匂う。作詞者・石原信一は、そんな団塊の世代の一人だ。
ふと、そういう裏読みがしたくなるギター流し歌仕立て。昔からよくあるネオン街女心ソングだが、徳久広司の曲は多岐川の歌を、声も思いのたけも細めにすぼめさせた。結果生まれたのは人肌のぬくもりで、多岐川はあのころ風の、ちょいといい女になった。
