
松山しぐれ
作詞:喜多條忠作曲:弦哲也
唄:城之内早苗

演歌ではない演歌――と書くと妙だが、そんなタッチの歌に仕上がった。歌の姿そのものがほっそりときれいで、演歌特有のアクや泥くささがまるでない。
謎は発声にある気がする。腹式呼吸で声の芯を強くし、体に反響させて太めに、歌に説得力を作る演歌の作法がない。ごく自然に素直な声の出し方は、どちらかといえばポップス系。そのうえメリハリに頼らず、メロディーの起伏をやや控えめに辿る。
そのくせ小節はコロコロで、不思議な可憐さが生まれた。城之内の新しい個性ということになろうか。
