2012年8月のマンスリーニュース

2012年10月13日更新


ただ者ではないぞ! 原 文彦

 情痴の果てに「こおろぎみたいに おんなは泣いた」と言う。美川憲一に『金の月』を書いた原文彦の一行である。生々しい筆致で男女の痴態を描きながら、決して下卑に落ちない詩心に唸ったあとで、とどめを刺された。絶えて久しく出会わなかった出来事。この人、ただ者ではない!と、次作を待つこと切だ。
 相変わらず本心を秘めた詞が〝いいねえ〟は『うたびと』の池田充男。レーモンド松屋と大川栄策の仕事では〝昭和〟が戻って来た。