
流氷波止場
作詞:北多篠 忠作曲:幸 耕平
唄:市川由紀乃

歌が変わった。どちらかといえば〝静〟のこれまでに〝動〟のインパクトが加わっている。喜多條忠の詞、竜崎孝路の編曲もプラスに働いているが、幸耕平の曲の快い起伏と粘着力が、寄与するところ大と思う。
前半の語る部分は、市川らしさを維持した。一番の歌詞一行めの最後「捨て〈た〉」の置き方とか、二行めの最後「オホーツ〈ク〉」の揺れ方に、情がにじむ。息づかい、それがサビ一行分で昂揚し、歌い納めの「流氷波止場」のめいっぱいの歌い放ち方に、悲痛の余韻が濃い。ラフな魅力で歌がうねった。楽曲に恵まれて二〇周年の進境である。
