
花嫁峠
作詞:関口義明作曲:宮下健治
唄:佐々木新一

昔々、佐々木は三橋美智也二世と目された歌手だ。それを面と向かって言い募り、三橋を怒らせてしまった体験を僕は持つ。
そのころと較べたら、佐々木の歌声は太めになり、それなりの年輪を刻んでいるが、歌にある野趣は相変わらず得難い。
作詞の関口義明は「あゝ上野駅」のヒットで知られるが故人。旧作の掘り起こしだろうが、掛け言葉、重ね言葉の妙は、やはり手練の術。ひなびたお話をのどかに仕立てた世界を、宮下健治の曲が生かしている。佐々木にはうってつけの作品で、ベテラン健在の感が強い。
