2016年3月その他1

2016年4月29日更新


土佐女房

土佐女房

作詞:石本美由起
作曲:叶弦大
唄:中村美律子
amazon

 石本美由起の遺作。実にこの人の詞らしく、すっきりと漁師の女房の心のうちを描く。特段の技は用いない平易さが、実はこの人の技。一行にほぼ一つ、要所に配置された単語が、舞台の土佐、そこに生きる人々の営みから待つ女の気性までを伝え、情感を濃いめにするキィワードになっている。読み返せば、推敲の跡歴然なのだ。
 叶弦大の曲は、そんな詞の色あいに添った。南郷達也の編曲が、それを芝居がかった仕立てにした。中村美律子はのびのびと歌う。二番など、主人公の笑顔が見えた気がした。