
儚な宿
作詞:朝比奈京仔作曲:木村竜蔵
唄:鳥羽一郎

朝比奈京仔という作詞者を、寡聞にして知らないが、なかなかの書き手。4行詞の湯の宿女心哀歌を、きっちりと仕立てている。短い詞だから、重ね言葉や行間の含蓄に頼ることになるが、2番の艶っぽさ、3番の歌い収めあたりで力量を示す。
作曲した木村竜蔵は鳥羽一郎の息子。あのダンディー、イケメンが古風なくらいのこんな艶歌を書くことにも驚く。蔦将包のアレンジ、鳥羽の歌唱もすっかり〝その気〟で、この作品は明らかに、星野哲郎、船村徹コンビの世界を追っていて、愉快だ。
