2013年11月のマンスリーニュース

2014年5月12日更新


新沼の胸中を思い、粛然とした

 大川栄策の『男一途』は、文字通りの掘り出しもの。二八年前に登場した曲だ。たとえ古くても、いいものはいいと、制作者たちが思い定めたのだろう、まして昨今は、どこを向いても昭和回顧ばやりだから、なおさらのこと。
 新沼謙治はふるさと讃歌を自作自演した。おっとりおとぼけキャラ、東北なまりの彼の胸中で、3・11以後の思いがこんなふうに昇華したものか。力まず理屈をこねず、率直な表現にすがすがしさが匂う。深夜、これを聞いて僕はしばし粛然とした。