
母を慕いて
作詞:荒木とよひさ作曲:堀内孝雄
唄:里見浩太朗

作詞家荒木とよひさは、ちょいとしたマザコンである。昔、彼の母親が亡くなった時にその実態をまざまざと目撃した。乞われて葬儀委員長を務めた僕も、人後に落ちぬマザコンだから、三木たかしともども弔問客の目もはばからず、大泣きしたものだ。
「本当は弱虫 本当は泣き虫...」と、荒木が告白まじりに母を慕う詞を書く。作曲が堀内孝雄、編曲が川村栄二と、ヒット曲多数の仲間が、その率直な詞を生かす。気心の知れたトリオの仕事を、情に流されぬ作品にしたのは、里見浩太朗の歌唱の節度か。
