小西良太郎のカラオケ談義

2019年4月14日更新


再見!ちあきなおみと二人の男

殻を打ち破れ207回 偶然ってあるものだと思った。なかなかに味なものだとも思った。2月にちあきなおみを2度も聞いたのである。もちろんCDとテレビの映像でのことだが、久しぶりに沁みたのは『紅とんぼ』と『紅い花』の2曲――。  『紅とんぼ』にグッと来たのは、1日の代々木上原けやきホール。ここ・・・

山田太郎は、また咲くのか!

殻を打ち破れ206回  新年早々、まず聞いたCDは山田太郎の『やっと咲いたよなぁ』だった。  ≪ふむ...≫  いろんな感慨がいっぺんに胸に来る。まずジャケット写真の彼の笑顔だが、亡くなった父君の西川幸男氏に似て来ている。しっかりとカメラを見据え、ほほえんでみせる目許に西川氏を思い出す。・・・

歌詞に、着想の大胆さや細かい工夫を

殻を打ち破れ205回  今年のレコード大賞の作詩賞は、松井五郎が受賞した。対象は山内惠介の『さらせ冬の嵐』と竹島宏の『恋町カウンター』の2曲。演歌ファンには聞き慣れぬ名前かも知れないが、この人はポップスの世界ではベテラン、相当な有名人だ。  ≪よかったな。本人は今さら...とテレたかも知・・・

『片時雨』が心地よく哀しいヨ

殻を打ち破れ204回  新曲の『片時雨』を聞いて「うまくなったな」と思った。もう一度聞き直して「いいじゃないか!」になった。岩本公水とはデビュー以来のつき合いだが、このところちょっとご無沙汰。そんな話をしたら編集部から「会ってみません?」ということになって――。 小西 いい歌だよな 岩本・・・

『銀座のトンビ』を沢竜二で やるぞ!ワッショイ!

殻を打ち破れ203回  大衆演劇の大物・沢竜二と売れっ子編曲家の伊戸のりおが、文京区関口台のキングスタジオで待っていた。徳間ジャパンの梶田ディレクターと僕が合流する。10月4日夕、それぞれ旧知の仲だから「やあ、やあ」「どうも、どうも」になる。実はこれが一つの企画の顔合わせと細部の打ち合わ・・・

ルービー・ブラザーズに共感する!

殻を打ち破れ202回  最近はあまり使われないが、歌社会にバンド言葉があった。「サ~ケ」は「酒」「ルービー」は「ビール」「テルホ」は「ホテル」「ナオン」は「女」...と、単純なサカサ表現。テレビで芸人さんが「マイウー!」と叫んだりするのは「うまい!」の意で、たまたま生き延びている例の一つ・・・

テラと呼ぶ男とのあれこれ

殻を打ち破れ201回 手許に一枚のCDがある。『MOSS WAVE 1968~1984』のタイトルで非売品。これは友人寺本幸司を主人公にしたパーティーで配られた。収められているのは19曲。浅川マキの『夜が明けたら』や『かもめ』下田逸郎の『踊り子』南正人の『海と男と女のブルース』桑名正博の・・・

佐伯と安奈、もう一つの人情劇

殻を打ち破れ200回 「えっ、そうなの、知らなかった...」  歌手川中美幸が、それこそのけぞらんばかりに驚いた。7月5日夕、彼女の明治座公演の初日がめでたく終わった直後。楽屋前には共演中の女優安奈ゆかりと車椅子の紳士とつき添いのご婦人がいた。実はこの3人が親子なのだが、紳士は僕の親友で・・・

鳥羽の『儚な宿』がいいぞ!

殻を打ち破れ199回  ≪えっ? 何だこれは? 俺、そんなに酔ってるか?≫  ほろ酔いの深夜、新着のCDを聴いていて突然、覚醒した。東京で仲間うちと飲み、葉山の自宅へ戻ってのこと。新橋―逗子が横須賀線、逗子からはタクシーで2時間弱。年のせいで少なめになった焼酎は、水割りで3、4杯だから、・・・

『天草情歌』の意味は重い

殻を打ち破れ198回 昭和の名残りの歌になるのか? おそらくこれがそういう最後の作品だろう...。そんな思いで天草二郎の新曲『天草情歌』を聴いた。作詞が中山大三郎、作曲が船村徹。亡くなった二人の歌書きが共有した青春の感慨が、平成の30年を飛び越して今、しみじみと胸をひたすではないか! 縁・・・