小西良太郎のカラオケ談義

2018年6月3日更新


阿久の遺作をハコに託す

殻を打ち破れ197回  "阿久悠プロジェクト"で働く西澤雅巳君からFAXが届いた。阿久の存命中から旧知の友人だから「何事か!?」と老眼鏡を取り出す。用件は阿久の未発表の詞についての問い合わせ。昨年は彼の没後10年、作詞活動50周年の節目で、遺作のCD化やトリビュートコンサートなど、追悼行・・・

同期生・三沢あけみを聴く!

殻を打ち破れ196回  三沢あけみのアルバムを聴いた。『私の選んだ作品集』というタイトルに、ニヤリとしてのこと。彼女が50年を越す歌手生活を振り返り、あれにしようか、これも入れておきたい...と、作品選びをする風情が眼に見える。それにまつわる思い出も、あれこれ浮かんだことだろう。恩師の作・・・

聴き手冥利だ「名歌復活」

殻を打ち破れ195回  バーのラウンジ、左からギターを抱えた弦哲也、徳久広司、杉本眞人、その右側にピアノがあって岡千秋が陣取る。ちょいとした豪華版、それぞれが弾き語りで作曲家を目指した思い出の曲を歌い、往時を語るのだから、これはいくらお金を積んでも見られない光景。新聞記者からフリーの雑文・・・

新年、天童人情の酒に酔う

殻を打ち破れ194回  「賀正 祈 歌謡発展 身体健全」  と大書してある。何と、朱筆で達筆である日付はもちろん平成30年元旦。歌社会に長く身を置く僕あての、シャレの年賀状などと早合点しないで頂きたい。送り主が何と「天童大黒天、観月山妙法寺第十八世」の矢吹海慶日貞師なのだ。それに添えられ・・・

『海猫挽歌』永井裕子が孵化した!

殻を打ち破れ193回  ≪ほほう!≫  作家や歌手の進境に時おり出っくわす。毎月、かなりの枚数のCDを聞いてのことだが、そんな時はわが事のように、嬉しくなる。相手の顔を思い浮かべて、電話でもしようか...という気分。そんな出来事は、そうそうないせいだが、こちらは雑文稼業。電話よりは原稿に・・・

人間味が横溢、作曲家の弾き語り

殻を打ち破れ192回  BSテレビは昭和の歌ばやりである。戦後の作品が多いが、演出も手を替え品の替えだ。僕にもあちこちから、声がかかる。時おり、  「誰か他の人に頼んでよ」  と、断りにかかることがある。親しいつき合いがなかった歌い手さんの場合で、実感的な話が出来そうもないケース。すると・・・

エドアルドの『竜の海』に 興奮している。

殻を打ち破れ191回 ≪よし、この1曲であいつの世界は決まったな≫   エドアルドの新曲『竜の海』を聞いて、即座にそう思った。海の男の生きざまを描いて、石原信一の詞がいい。1コーラス5行、カッチリと無駄のない表現。作曲の岡千秋も力が入っている。ズン!と鉈で切り込むようなメロディーは、彼お・・・

大願成就へ・『デラシネ』の門戸竜二

殻を打ち破れ190回  門戸竜二という役者がいる。大衆演劇ファンにはよく知られた名で、この世界の「プリンス」と呼ばれる青年だ。おなじみさんが絶賛するのは見事な女舞い。妖艶な花魁(おいらん)や芸者姿から、少女と見まがう可憐な町娘まで、相当な美しさになる。坂東流の名取りで踊りも本格派、踊りも・・・

花京院、満を持して『望郷五木くずし』

殻を打ち破れ189回  「そろそろ、またやりましょうか」  と、ビクターの菱田信ディレクターから声がかかる。  「そうだな、もうそんなころあいか...」  と、僕が応じる。電話のそんなやりとりで、ありがたいことに花京院しのぶの歌づくりが始まる。カラオケ熟女の一部に熱心なファンを持つ"望郷・・・

川神あいの新曲で笑っちゃおう!

殻を打ち破れ188回  見知らぬ熟女から声をかけられた。あれは日高正人のディナーショーか何かの客席だ。  「川神あい、頑張ってます。新曲、出ました。聞いてあげて下さい。お願いします」  けげんな顔の僕に、彼女は一気にそう言った。円卓の一隅に座る僕の前でひざまずいた形のまま、小声だが口調は・・・