小西良太郎のカラオケ談義

2016年12月17日更新


エドアルドの新年に期待する

殻を打ち破れ170回  ≪どういう新年を迎えたのだろう、あいつは?≫  ふと思い返す顔がある。ブラジルのサンパウロで生まれ育った男だが、日本へ来て何年にもなるから、年越しは慣れているだろう。しかし今年は、念願叶ってやっと、プロの歌手になっての正月である。それなりの感慨はあるだろうからと、・・・

快哉!森サカエの絶唱と新田 晃也の新境地

殻を打ち破れ169回  70才を過ぎてなお、独自の進境を示す歌手がいる。少し驚き大いに感じ入った相手は新田晃也。12月10日夜、東京・九段のホテルグランドパレスで開かれた、彼のディナーショーを見てのことだ。  『寒がり』『振り向けばおまえ』『母のサクラ』と、このところ連発しているオリジナ・・・

母子二代、日韓歌のかけ橋

殻を打ち破れ168回  「ママがね、ドレスもくれたヨ」  近ごろチェウニは、しきりに母親の話をする。彼女が2才のころに離婚した母は"韓国の美空ひばり"と呼ばれる大物歌手の李美子。チェウニはその後、父方で育った。ふつうの母娘なら『瞼の母』の女性版になるところだが、チェウニも8才で歌手デビュ・・・

横井弘は歌社会の文学者だった!

殻を打ち破れ167回  三橋美智也の『哀愁列車』が大ヒットしたのは昭和31年。歌い出しから三橋の高音が♪惚れて...と突出して、同じフレーズを3回繰り返す。悲痛で甘美な魅力がズン!と、胸に沁みたものだ。  この歌に背を押されるように、その年の8月、僕は上野を目指す常磐線に乗った。茨城の水・・・

「地方区の巨匠」佐伯一郎を激励する。

殻を打ち破れ166回  佐伯一郎のコンサートを見に行ったのは、8月16日、浅草公会堂。「見に行った」と言えば聞こえがいいが「飲みに行った」が実情で、楽屋を訪ねると茶碗酒が出るのがいつものこと。それが今年はステージを見ずじまいで、そのまま打ち上げの席へ直行した。午後1時の開演。佐伯の弟子た・・・

浜博也『越佐海峡』を注意深く聴く。

殻を打ち破れ165回  浜博也の新曲『越佐海峡』を聴く。喜多條忠の詞、伊藤雪彦の曲で編曲は前田俊明。越後の山を振り返り、佐渡の島影を見る船上の女主人公は、傷心の一人旅だ。伊藤の曲は気分のいいテンポと起伏で哀愁をひと刷毛、カラオケ・ファン狙いと読める作品で、格段の新しさや型破りの野心の気配・・・

比叡山延暦寺で出口美保を聴いた

殻を打ち破れ164回  話し方に「訥弁の能弁」というのがある。トツトツとした口調に微妙な間(ま)があり、ちょっと見には話し下手に聞こえる。これが曲者で、独特のペースで聞く人を次第に引きつけていく。耳を澄ませば、意味あい深いフレーズが多く、内容は含畜に富んでいて、時に上滑りなおしゃべり、能・・・

鏡五郎、渾身の『花火師かたぎ』

殻を打ち破れ163回  いい意味の緊張感がみなぎっていた。舞台中央で歌う鏡五郎の眼は、ひたと会場の宙空を見据えている。  ♪ドカーンと弾けた 夜空を見上げ 為になったら うれしいね...  前奏から勇壮な花火の音が続いて、新曲『花火師かたぎ』の歌い出し。鏡の歌声は覇気に満ちてい・・・

高林こうこの詞、福浦光洋の歌がいいぞ!

殻を打ち破れ162回  福浦光洋という人のミニ・アルバム『途中下車』を聴く。銀座にシャンソン・バー「ボンボン」を開く人で、シャンソン、カンツォーネ歴は30年。店ではそんな外国曲の詞を、津軽弁で歌って人気があるとか。  5曲全部を書いている高林こうこの、詞がいい。表題曲『途中下車・・・

絶賛!田久保真見、出色の『菜の花』

殻を打ち破れ161回  「ずっと大人になれなかった僕」と、「そっと子供に戻ってゆくあなた」が、寄り添って一面の菜の花を見つめている。二人はどうやら母親と息子で、彼が親孝行を気取った「最後のドライブ」の一コマだ。  その前置きに、母は息子を忘れ、自分をも忘れているとある。花の名前だけは覚え・・・