新歩道橋

2021年6月12日更新


新歩道橋1104回

 《おや、ずいぶん変わったな。うん、いい笑顔だ。いいことがあったみたいな気配まである…》 CDのジャケット写真というものは、歌い手の訴え方があらわで面白い。自分が作りあげた世界に鷹揚におさまるベテランから、精いっぱい存在をアピールする若手まで、人により作品によって実にさまざま。女性歌手の・・・

新歩道橋1103回

「無名」というタイトルの歌詞は、ずいぶん前から僕の引き出しに入っていた。田久保真見が書いた5行詞で、持って来たのは歌手の日高正人。 「うん、お前さんにゃ似合いだな。いつ世に出すか、楽しみにしてるよ」 と、彼を励ました記憶がある。もう喜寿になるが、若いころたった一人で武道館をいっぱいにして・・・

新歩道橋1102回

「こちらはもう、しょうけつを極めておりますわ、はははは…」 電話でいきなり、作詞家のもず唱平がむずかしい熟語を使う。長いつきあいで、そういう癖のある相手と判っているが、さて「しょうけつ」ねえ。大阪のコロナ禍激化を指して「悪いものがはびこる」の意だろうが、文字が思い浮かばない。突然出て来た・・・

新歩道橋1101回

 頼まれて単行本の帯を書いた。推薦コピーである。 「タフな行動力に感動! 山陰を離れず音楽を糧に、辿った数奇な半生に脱帽。小説にしても面白すぎる!」 いささか長く歯切れが悪いが、何案か渡したものを本人がつなぎ合わせて、こうしたいと言うからOKした。石田光輝著「あの頃のままに~遠回りしたエ・・・

新歩道橋1100回

 通販番組のうまいものにオーバーに反応したり、俳句をひねったり。笑顔のままの毒舌が人気のおっさん梅沢富美男が、絶世の美女になるのだから大衆演劇は愉快だ。1月にやる予定がコロナ禍で延期、3月にやっと幕が上がった「梅沢富美男劇団千住新春公演」を見に出かけた。東京・千住のシアター1010で、ゲ・・・

新歩道橋1097回

 「料理なんて、ちゃんとやるの?」 「うん、いろいろ考えながらね。おたくは?」 「あたし、やらない。だんながする(笑)」 熟女二人のやりとりである。ご近所づきあいの主婦の立ち話みたいな風情。そのうち子供は作らないのか、そこまでは望まない、もう年が年だしねえ…と、突っ込んだ話も妙にさりげな・・・

新歩道橋1096回

   吉幾三の詞や曲にある独特の〝語り口〟と、走裕介の〝歌いたがり癖〟がどう合流できているか? そんなことをポイントに走の新曲「一期一会」を聞いた。結果としては案じることもなかった。その理由の1は、吉の詞が人との出会いはみんな意味がある。一期一会と思えばこそ…と、3コーラス&ハーフを一途・・・

新歩道橋1095回

 ここのところ二、三年、気になっている歌がある。昔、淡谷のり子が歌った「別れのブルース」だが、聞いてよし、歌ってよしで、全く古さを感じさせない。作詞は藤浦洸、作曲は服部良一、調べたらレコード発売が昭和12年4月で、何と僕よりわずか一つ年下、84年前の作品なのだ! まず、歌詞がすうっと胸に・・・

新歩道橋1094回

  「冬枯れの木にぶら下がる入陽かな」 「寒玉子割れば寄り添う黄身二つ」 亡くなった作曲家渡久地政信と作詞家横井弘による俳句で、古いJASRAC(日本音楽著作権協会)会報に載っていた。「上海帰りのリル」や「お富さん」などのヒット曲で知られる渡久地は奄美大島の出身。南国の体験がありありの句・・・

新歩道橋1093回

  最近大病を体験した作詞家喜多條忠についての噂だが、 「毎日一万歩あるいて、ゴルフの練習場にせっせと通っているそうだ。12月4日、参加するあんたのコンペが伊豆であるんだって?」 このご時世で大丈夫か? の顔も含めて、教えてくれたのは、亡くなった作詞家星野哲郎の事務所「紙の舟」の広瀬哲哉・・・