新歩道橋

2021年11月20日更新


新歩道橋1115回

 横並びにギターを抱えた作曲家の弦哲也、徳久広司、杉本眞人が居る。その向こうのピアノ前には岡千秋が居て、それぞれが弾き語りをやる。場所はこじゃれたナイトクラブの一隅で、彼らは1曲ごとにキイを確認、短めのジョークも交わす。4人が合奏、各人が1曲ずつ歌う趣向で、曲目は徳久が「雨の夜あなたは帰・・・

新歩道橋1114回

 友人の歌手新田晃也が新曲「雨の宿」を出した。歌手活動55周年と喜寿を記念した作品だ。長く巷で歌って来た男である。業界の思惑を離れた演歌系のシンガー・ソングライター。「夢さすらい」「吹き溜まり」「前略ふるさと様」「冬・そして春へ」「母を想えば」などの自作曲を並べれば、独立独歩で生きた年月・・・

新歩道橋1113回

 餌に鴎が食いついた。そのまま敵は海中へもぐり、漁師が竿を振っても離れない。仕方がないからつかまえて、船のストーブで焼いて食った。それはいかん、鴎は漁師の守り神である。若い漁師鈴木政市は同罪の仲間と2人、水夫長にボコボコにされた。作詞家里村龍一の昔話である。酔って興に乗ると話を面白くする・・・

新歩道橋1112回

 大阪の町・枚方を「ひらかた」と読むことは、作詞家もず唱平とのつき合いで知った。彼はこの町に住んで45年、このたび思い立ってこの土地に縁のある歌を作った。北河内、淀川流域のこの町で知られるのは、京街道の主役だった三十石船で、伏見から天満まで半日の航程。それを舞台にもずが書いたのは「三十石・・・

新歩道橋1111回

 趣向を変えてきっちりと、ドラマを大きく展開するのは、芝居にしろショーにしろ、第2部の冒頭というケースが多い。9月14日夕、国立劇場大劇場で開かれた「大月みやこスペシャルコンサート〝歌ひとすじ~出逢いに感謝~〟」も、その例にもれない。大月は「雪国」の駒子と島村「婦系図」のお蔦・主税の愁嘆・・・

新歩道橋1110回

 日本の四季を代表するような映像が次々と展開する。舞台いぱいのスケールと鮮やかな色彩に圧倒されそうだ。五重の塔に紅葉、桜吹雪もあったか? 一望の草原、密集するひまわりの花、雄大に波打つ海、満ちてゆく月の変化…。その光景の中に、男と女の影が白く浮き出て、すぐに溶けて散る。どうやら切ない恋の・・・

新歩道橋1109回

 遠くから突然、坂本九の歌声が流れて来た。つけっぱなしのテレビが映していたのは東京オリンピックの閉会式。歌声はその会場からで、「ン?」あれは「上を向いて歩こう」か? 「見上げてごらん夜の星を」か? 確認しようと、あわててボリュームを上げたが、テレビの画面はもう次の光景に移っていた―。 日・・・

新歩道橋1108回

 みなとみらい線・日本大通り駅から徒歩8分、神奈川県民ホールへ、熟年男女が行進した。7月19日月曜日の午後1時、相変わらずの暑さだが、人々の歩みは物見遊山ふうにゆっくりめで、軽い。行く先は福田こうへいコンサート。去年7月にやるはずだったものの振替公演。道々交わされる会話はコロナ禍の不満や・・・

新歩道橋1107回

 東北の〝職業歌手〟奥山えいじの新曲「うまい酒」が妙にしみじみしている。槙桜子の詞、伊藤雪彦の曲で、一番がちょいと一息の〝ひとり酒〟二番が友だちとの〝つるみ酒〟三番が夫婦の〝ふたり酒〟という歌詞。庶民の暮らしの中の、安らぎの場面を並べ、人生良いことばかりではないが、うつむかず明るめに暮ら・・・

新歩道橋1106回

 「夜霧のブルース」と「別れのブルース」が、好きな古い歌の双璧である。それがここ数年は「別れのブルース」に、愛着が傾いている。 〽窓をあければ港が見える、メリケン波止場の灯が見える… と、藤浦洸の詞が淡々と風景をスケッチ、 〽むせぶ心よ、はかない恋よ、踊るブルースの切なさよ… と結ぶ。2・・・