新歩道橋

2017年3月19日更新


新歩道橋975回

 改めて船村徹を聴く。  「やっぱりいいね。こういうふうにまとめるとなお、実にいい」  元NHKの益弘泰男さんがしみじみとした声になった。3月1日午後の中野サンプラザホールの楽屋。モニターには今しがた飛び込んで来た鳥羽一郎の、音合わせが写っている。NHKが3月26日に放送する「昭和の歌人・・・

新歩道橋974回

 〽子でも孫でもない他人(ひと)の子を、火の粉背おって育ててくれた...  2月23日午後、音羽・護国寺に男たちの歌声が湧いた。急死した作曲家船村徹の出棺で、歌いながら担っていたのは鳥羽一郎を筆頭にした弟子たちと、船村のコンサートを長くサポートして来た仲間たちバンドの面々。彼らが声を揃え・・・

新歩道橋973回

 バスが第一京浜を走る。僕はちょいとした冒険気分だ。ン? 金杉橋か、この左奥には昔、スポーツニッポン新聞社があった。僕が19才から53才までの、いわば青春を捧げたところだ。高速へ上がるはずだが、何? 入り口は芝公園ではないのか! バスは僕の予想を裏切って、平和島を左折、大森料金所から入っ・・・

新歩道橋972回

 1月31日の夜、奇妙な酒盛りをやった。シャレの呼びかけに集まったのは、小西会のメンバーを軸に28名ほど。場所は銀座5丁目の「いしかわ五右衛門」で、ここ10数年、僕が通いつめた店だ。集合を午後8時30分にしたのは、なじみの客がひとわたり、名残を惜しんだあとのいわば第2部。僕らだけで店を占・・・

新歩道橋971回

 お祝いの会と言っても、今回はものが文化勲章で、受章者が師匠の船村徹である。打ち合わせは最初から緊張したし思い惑いもした。相棒は例によってミュージック・リポートの隣りのページでコラム連載中の境弘邦。いつのころからか「表の小西、裏の境」などと戯れ言を言いながら、長く歌社会の冠婚葬祭の手伝い・・・

新歩道橋970回

 歌巧者が歌うと時折り、歌が聴き手の僕の前を横に通り過ぎる。作品に描かれたドラマが、横断帯みたいな絵になって感じるのだ。歌い手の意識が無意識のうちに「みんな」に聴かせているタイプで、それはそれで歌表現の一つ。僕が好むのはそれとは対照的に、歌の心情が縦に、聴き手の方へ突き刺さって来るタイプ・・・

新歩道橋969回

 テレビを見終わって、一人で乾杯をした。人が来なければ自宅で飲むことのない僕に不審顔の愛猫が2匹。12月1日、堀内孝雄の「空蝉の家」が日本作詩大賞の大賞を受賞した夜だ。わがことみたいに喜んで、作詞した田久保真見に電話をする。内輪の祝勝会ふうにぎわいの中から、  「おかげさまで...。はい・・・

新歩道橋968回

 11月19日は、山形の天童で酔っていた。翌20日の佐藤千夜子杯カラオケ全国大会の前乗りで、晩めしのあとに出かけたのがいつものスナック。大会の実行委員長で地元の有力者・矢吹海慶和尚が一緒だ。5才年上のこの人は「酒と女は2ゴウまで」とか「仏はほっとけ」などの迷言!? を口走る粋人で、舌がん・・・

新歩道橋967回

〽兄弟船は真冬の海へ、雪の簾をくぐって進む...と来た。  《雪の簾か、星野哲郎ならではのフレーズだな》  僕は今さらながら〝海の詩人〟の言葉選びの凄さを再確認する。11月24日、葉山一色は雪。この時期の初雪は、昭和37年以来54年ぶりだと言う。僕が星野と初めて会ったのは38年だから、そ・・・

新歩道橋966回

 隣りに作曲家の弦哲也が居る。11月15日夜、原宿のミュージックレストランの片隅。テーブルにはオードブルとピザの皿があり、二人には赤ワインのグラス。僕は少し関係者ふうなたたずまいで、おがさわらあいの歌を聞いている。彼女を囲むのは6人のミュージシャンで、前列でギターを弾いているのは田村武也・・・