新歩道橋

2017年1月22日更新


新歩道橋970回

 歌巧者が歌うと時折り、歌が聴き手の僕の前を横に通り過ぎる。作品に描かれたドラマが、横断帯みたいな絵になって感じるのだ。歌い手の意識が無意識のうちに「みんな」に聴かせているタイプで、それはそれで歌表現の一つ。僕が好むのはそれとは対照的に、歌の心情が縦に、聴き手の方へ突き刺さって来るタイプ・・・

新歩道橋969回

 テレビを見終わって、一人で乾杯をした。人が来なければ自宅で飲むことのない僕に不審顔の愛猫が2匹。12月1日、堀内孝雄の「空蝉の家」が日本作詩大賞の大賞を受賞した夜だ。わがことみたいに喜んで、作詞した田久保真見に電話をする。内輪の祝勝会ふうにぎわいの中から、  「おかげさまで...。はい・・・

新歩道橋968回

 11月19日は、山形の天童で酔っていた。翌20日の佐藤千夜子杯カラオケ全国大会の前乗りで、晩めしのあとに出かけたのがいつものスナック。大会の実行委員長で地元の有力者・矢吹海慶和尚が一緒だ。5才年上のこの人は「酒と女は2ゴウまで」とか「仏はほっとけ」などの迷言!? を口走る粋人で、舌がん・・・

新歩道橋967回

〽兄弟船は真冬の海へ、雪の簾をくぐって進む...と来た。  《雪の簾か、星野哲郎ならではのフレーズだな》  僕は今さらながら〝海の詩人〟の言葉選びの凄さを再確認する。11月24日、葉山一色は雪。この時期の初雪は、昭和37年以来54年ぶりだと言う。僕が星野と初めて会ったのは38年だから、そ・・・

新歩道橋966回

 隣りに作曲家の弦哲也が居る。11月15日夜、原宿のミュージックレストランの片隅。テーブルにはオードブルとピザの皿があり、二人には赤ワインのグラス。僕は少し関係者ふうなたたずまいで、おがさわらあいの歌を聞いている。彼女を囲むのは6人のミュージシャンで、前列でギターを弾いているのは田村武也・・・

新歩道橋965回

 「大阪しぐれ」の歌詞はけっこう隙間があったなと思う。それでは作詞家吉岡治は、先輩の石本美由起同様に、そんなタイプの書き手で、作曲した市川昭介や歌い手に事後を託したのか? いや、あながちそうでもない。「天城越え」はどんどん隙間を埋めて、歌づくり合宿をした作曲家の弦哲也を閉口させているし.・・・

新歩道橋964回

 やっぱり話は〝心友〟高野公男のことで終始した。文化勲章受章が決定した作曲家船村徹の記者会見。10月27日午後、代々木上原の日本音楽著作権協会(JASRAC)の会場はおめでたムード一色。彼はこの協会の名誉会長だ。  「大勢の先輩たちの忘れものを、私が拾って届けることになったような感じで.・・・

新歩道橋963回

 「冬美、来たぞ、やっと来たぞ!」  おつきの女性がさえぎるのも構わず声をかける。10月20日午後の明治座の楽屋。のぞき込むのれんの向こう側、化粧台に向かう坂本冬美が振り向いて満面の笑顔になった。芝居とショーの合い間の休憩時間、ほど良いころあいに声をかけたのだが、彼女は「新版女の花道」の・・・

新歩道橋962回

 「おい、どうなってるのよ、これは...」  友人の花屋マル源の鈴木照義社長に説明を求めた。10月5日夜、東京のグランドプリンスホテル新高輪・飛天でのこと。北島三郎の芸道55周年感謝の宴が開かれたのだが、その会場づくりが凄まじかった。  いつもなら入り口から会場の地下1階へ続くだらだら坂・・・

新歩道橋961回

 《さて、例のピョンピョンを見に行くか...》  9月25日午後、逗子から湘南新宿ラインで新宿へ出て、中央快速で中野へ一駅。日曜日で他に仕事もないし...と、気楽な1時間ちょっとのはずだった。見に行く相手は水森かおり、その浮き浮き気分に、割り込んだ奴がいる。サンデー毎日の編集次長になった・・・