新歩道橋

2011年2月18日更新


新歩道橋762回

 流行歌の黄金時代を演出し、支えた顔ぶれがズラリと揃った。2月1日夜の霞ヶ関ビル35階で開かれた、サンミュージックの福田時雄さんの卒業を祝う会。何しろ主人公の福田さんが80才、傘寿のおめでただから、参会者の年齢層もかなり高い。それが歓談するさまはウォーッとパワフルで、時ならぬ同窓会ふう…・・・

新歩道橋761回

 いきなり「噂のこして」の歌詞をそらんじて見せた。作詞家藤間哲郎の米寿を祝う会で、乾杯の音頭を命じられてのこと。型破り過ぎてあざといか…とも思ったが、あいさつの冒頭の用意、これしか思いつかないのだから仕方がない。 「噂のこしてとも網といて、雨に帆あげた主の船…」 昭和30年、三橋美智也の・・・

新歩道橋760回

  「セリフを繰(く)る」という言葉がある。人によっては「食う」と言ったりする。「順に引き出す」という意味では「繰る」が正解だろうが「クル」と「クウ」では、口伝てにすると混じりやすい。役者が出番前に、舞台そででボソボソ独り言めいているのがそれ。セリフが間違いなく言えるかどうか、不安を消し・・・

新歩道橋759回

 ノレンが揺れた気配がする。「ン?」と目を凝らすと、そのすき間から拳銃の銃口がこちらを狙っている。「何者だ!」と問う僕、狙撃手がニヤリと顔を出した。俳優真砂皓太、彼はこれから大老井伊直弼を暗殺に出かける水戸浪士のリーダーだ。1月名古屋御園座の川中美幸公演「たか女爛漫」2幕3場への出番。楽・・・

新歩道橋758回

 黒紋付に高島田、和の正装をした川中美幸が楽屋を出る。部屋の前にはその日ごとの来客や安田栄徳らダンサーたち、三味線奏者らの列がある。1月、名古屋御園座公演の第二部「人・うた・心」の開幕直前のこと。それぞれに笑顔をふりまいた後、川中は舞台を一巡する。しかたたかし率いるバンド、ザ・ロータスや・・・

新歩道橋757回

  また「舟唄」や「雨の慕情」について、ひとくさりしゃべって来た。TBSが年末に放送する〝レコ大関連番組〟で使うそうな。「雨の慕情」は八代亜紀のレコード大賞受賞曲である。先行した「舟唄」と追っかけて出した「港町絶唱」の3作品を僕がプロデュースした。30年も前の話だ。 「で、どのくらい儲か・・・

新歩道橋756回

 あけみちゃんてば、あけみちゃん、再婚しようよ天国で… 星野哲郎もすごい詞を残していったものである。タイトルが「かすみ草の歌」で、あけみちゃんはもちろん16年前に亡くなった愛妻朱実さんを指す。詞の中で彼女は天国に居り、天国を追われた星野は地獄にいる。そのあけみちゃんが差し出す白い手が、歌・・・

新歩道橋755回

  頬がふっくらと、血色も肌艶もいい。そんな顔が眠っているように穏やかで、二日目には微笑するように表情が変わった。自宅居間に仰臥する星野哲郎、とても亡くなったとは思えぬ面持ちで、 「だけどなあ、良太郎…」 と、いつもみたいに語りかけて来そうだった。15日午前11時47分、入院先の病院で心・・・

新歩道橋754回

 巨大なビルほどもある波が、大音響で崩れ落ちて来る。それに打ちのめされながら、クルーザーは眼の前の巨大な海の穴、つまりビルみたいに波がそそり立つために出来たすり鉢状の空間へ突っ込んでいく。天を見上げた形の船首が、次には奈落の底めざして落ちるのだ。その繰り返しがどのくらい続いたろう。暴風雨・・・

新歩道橋753回

 チェウニが「永住権」を得た。韓国から日本へ来て11年めの歌手生活。その間の活動と実績、生活ぶりが認められてのことだろう。4月に品川の入国管理局でその手続きを終えた。11月1日、日本橋劇場で開いた「秋のコンサート2010~えにし~」でそれを報告して、彼女の弾む口調がファンの拍手を浴びた。・・・